副詞をどこに置くかと言う問題は副詞の種類によっても異なります。副詞の位置について勉強したいと思ってこの記事にたどり着いた方は副詞の種類を7つに分類して特徴をまとめていますので、まずはそちらから読んでいて大局を掴んで頂ければと思います。今回は「様子を表す副詞」には語尾に-lyをつける理由と、「様子を表す副詞」の位置について解説します。「様子を表す副詞」は恐らく最も数が多く、現代英語に於いては、ザ・副詞と言って良いと思うので、こちらの記事だけでも、格段に副詞への理解が深まると思います。
「様子」を表す副詞に-lyをつける
ほとんどの「様子」を表す副詞には語尾に-lyが付きます。
これは動詞の「様子を表している」ことと深い関係があります。
日本語の例文と併せて考えて見ると理解しやいので
日本語と英語を混ぜた例文で解説します。
例文
①He drives carefully.
彼は慎重に運転する。
この文章は前から訳すともっと自然になります。
彼の運転は慎重だ。
どうですか?
こっちの日本語の方が自然じゃないですか。
これは
②His driving is careful.
の言い換え表現だという事です。
つまり、動詞(運転する)+副詞(慎重に)の関係性で結びついているのは
名詞(運転)+形容詞(慎重な)の関係性を置き換えたものです。
でも英語の場合は②よりも①の表現の方が自然なんです。
このように、動作の様子を伝えるので「様態の副詞」
と言われている訳です。
③She walked slowly.
彼女はゆっくり歩いた。
こちらは自然な日本語ですが、次のような日本語への言い換えも出来ます。
彼女は歩くのがゆっくりだった。
こちらも同じ意味で自然な言い方です。
このくらいの文章なら前から訳すことが出来ます。
厳密には前者は彼女の意志を感じ、後者は客観性が強い
ニュアンスがありますが(英文では意思を含まないので、あくまで和訳の範疇で)、
思い浮かべる光景は同じでしょう。
しかも後者の日本語「歩くのがゆっくり」を見ると
動作の様子を伝えていることがはっきり分かりますよね。
これを英語に直したものが以下です。
④Her way of walking was slow.
意味は通じるけどやっぱり不自然なんですよ。
動作である「運転する様子」「歩く様子」を伝える時に
名詞+形容詞だと主語を長くする必要が出てくるので好まれません。
動作の様子なんだから、動詞をそのまま使って、
「その様子を伝える何か」をくっつける方が簡単です。
それを実現するのが、動作+副詞の形です。
そこで、形容詞を副詞化させる目的で
語尾に-lyを付加する習慣が生まれたわけです。
日本語だって、形容詞を副詞化していますよね。
速い→速く、遅い→遅く、美しい→美しく
「い」を「く」に変えるだけです。
中には「い」で終わらない形容詞もありますよ。
慎重な→慎重に、綺麗な→綺麗に、微妙な→微妙に
でもある程度パターン化されているわけです。
英語の-lyのパターンは形容詞を副詞化したものがほとんどです。
形容詞は名詞の「様子」を伝えるものなので、
その「様子を伝える性質そのもの」が副詞に引き継がれています。
だから-lyが付加された副詞は「様子」を伝えることが出来るのです。
因みに名詞を形容化するときに-lyを付加したものもあるので、
-lyがすべて副詞とは限りません。
friend→friendly, cost→costly, man→manly, love→lovely
この中でlovelyは名詞が形容詞化されたモノですが、
love自体は動詞としても使われていますし、
lovelyは副詞としても使われますよね。
こんな感じで名詞が動詞の役割を果たし、
同時にlyを付加して形容詞化されたものが
副詞としても使われているケースも多いです。
「様子」の副詞の位置
大原則1.動詞と目的語の間には入れない。
この大原則は、「頻度」の副詞と同じですね。
そのうえでのルール説明です。
- ①自動詞の後ろ
- ②他動詞の前か目的語の直後
- ③連結動詞の後ろ(形容詞の前)
- ④不規則副詞は必ず後ろ
では順に確認しましょう。
①自動詞の後ろ
He drives carefully.
彼の運転は慎重だ。
She walked slowly.
彼女は歩くのがゆっくりだった。
②他動詞の前か目的語の直後
Hanako beautifully wrote the letter.
Hanako wrote the letter beautifully.
花子は綺麗に手紙を書いた。
Hanako carefully folded the blankets.
Hanako folded the blankets carefully.
花子は慎重にブランケットを畳んだ。
③連結動詞の後ろ(形容詞の前)
これは「頻度」の副詞でも出てきたルール
で、形容詞を修飾するからという事ですが、
イコール関係を表す連結動詞の右辺に置く
という意味でもあります。
これらの理由のどちらかが欠けると
このルールは成立しなくなります。
Hanako is loudly delighted.
花子は大声で喜んでいる。
もとは
花子=喜んでいる(形容詞)
と言う関係なのだから、形容詞を修飾するなら
「花子大声で(loudly)=喜んでいる」
ではなく、
「花子=大声で(loudly)喜んでいる」
の関係性でなければおかしいわけです。
これが「連結動詞の右辺に置く」の意味です。
(連結動詞が分からない方はこちら)
連結動詞であれば、be動詞に限ったことではありません。
Taro remained stoically silent.
太郎はじっと黙っていた。
「彼=じっと(stoically)黙ったままでいた」であって
「彼じっと(stoically)=黙ったままでいた」ではありません。
このように連結動詞の左辺に置くと関係性が
めちゃくちゃになってしまいます。
④不規則副詞は必ず後ろ
凡そ以下の四つを押さえておけば良いです。
fast, hard, late, well
これらは不規則副詞(irregular adverbs)と言われています。
不規則とは語尾に-lyを付加するパターン
から外れているというほどの意味です。
不規則副詞は文末に置きます。
これはお馴染みだと思いますが。
He can speak English well.
彼は英語が堪能だ。
このように文末に持ってきますよね?
他動詞だからと言って、
He can well speak English.
こんな風に本動詞の前には置きませんよね。
なので、皆さんにとっては楽勝です。
以上が基本になりますが、文頭に置くことや、
置く場所によって意味が異なることがあるので
補足として記載します。
⑤強調するときは前に置く
Carefully, he spins the dial to the left and to the right.
慎重に、彼はダイヤルを左へ、右へダイヤルを回す。
-lyの副詞を文頭に置く場合は、副詞の持つ意味によって
文章全体を修飾するパターンがあるので注意しましょう。
⑥位置によって意味が変わる
Hanako quietly asked Taro to pour the coffee.
花子は太郎にコーヒーを入れるよう静かに頼んだ。
Hanako asked Taro to pour the coffee quietly.
花子は太郎に静かにコーヒーを入れるよう頼んだ。
前例は「静かに頼む」
後者は「静かに入れてくれ」と頼む
となるので意味が異なるのが分かります。
このように文章内に動詞が二つある場合は
どちらの「動作の様子」を伝えたいのか
注意する必要があります。
まとめ
如何でしたか?
今回は「様子」を表す副詞の語尾-lyの理由と
文章内の位置を解説しました。
動詞を英語でverb、副詞はadverbと言います。
語源的には動詞(verb)に意味を加える(add)
それが副詞(adverb)の意味です。
だから、現代英語では「動詞を修飾するのが副詞」
と言う説明がされます。
「動詞を修飾する」は「動詞を説明する」と言い換えると分かりやすいでしょう。
中でも「動作の様子を伝える副詞」は形容詞が名詞を説明するように、
動作の様子を説明するために-lyが付加されているため、
副詞の定義に真っ先に当てはまります。
彼女は美しい
と言う文章では、彼女の様子を伝えているのが分かります。
彼女は歩き方が美しい
この文章では、歩く様子、その姿が美しいという意味です。
言い換え文章を作るとすれば、
彼女は美しく歩く
となり、「歩く様子、その姿が美しい」の意味は
そのまま引き継がれています。
このように歩き方(名詞)+美しい(形容詞)は
歩く(動詞)+美しく(副詞)に置き換えることが出来て、
英語では動作の様子を伝える時に
動詞+副詞の形で好まれます。
しかも「美しい→美しく」のように
beautiful→beautifullyに変えるだけなので
ネイティブにとってはお手軽なんです。
「様子」を表す副詞の位置の特徴は主に4つあります。
①自動詞の後ろ
②他動詞の前か目的語の直後
③連結動詞の後ろ(形容詞の前)
④不規則副詞は必ず後ろ
この中で、③だけが形容詞を修飾しています。
「副詞は動詞に付け加えるもの」なのに「形容詞や他の副詞文章全体を修飾する
と言う解説が必ず付いてきます。
実際に動詞以外も修飾するのだから、不思議ですよね。
実は、語源はもっと違うものなのですが、それは追々お話しするとして、
現代英語の解説上は「ザ・副詞」と言って差支えはないでしょう。
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