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現在完了形には3つのタイムラインがあると思っていませんか?

現在完了形の本質アイキャッチ画像

現在完了形では完了・経験・継続3つの用法を習いますが、実はタイムラインで考えると2つしかありません。さらに本質はたったの1つです。つまり1つの本質が2つのタイムラインに分かれて、それをわざわざ3つに整理したのが、3用法だという事です。今回は、本質から順にタイムラインを紹介し、例文の解説をします。この記事を読めば、用法を気にして使う必要がなくなります。

現在完了形とは「結果を見る」が本質

まず整理しておくと現在完了形とは、現在時制の完了相であるという事です。

現在と言う時の制約の「完了」と言うことに視点があります。

時制と相に関するまとめを見ると視界が広がりますよ。

そのため、完了(過去の出来事)が与える

現在の影響を語るのが本質です。

寺の鐘を鳴らす(過去の出来事)と、

その鳴らした余韻(影響)と言うものがあります。

その余韻について今何を感じるか?(結果)

それが本質です。

現在完了の理解で必要なのは、1つの文章を見るのではく

その前後の文章(文脈)を考えることです。

つまり、どのような会話の中から取り出した文章なのかを考えることです。

例えば、

あなたがカギを無くして家の前で困っていると近所の人が

「どうしましたか?」と声をかけてくれます。

あなたは「カギを無くして家に入れないんです。」

と答えますよね。

こういう時に現在完了形を使って

I’ve lost my keys, so I can’t get into my house.
カギを無くした結果、家に入れなくて困っているんです。

とこんな風に言うわけです。

いつ無くしたとか、どこで失くしたかはどうでもよくて

カギを無くした、その余韻で、現在、家に入れなくて困っている

「現在困っている」と言う「結果(影響)」に焦点があるのが

現在完了形の本質です。

だからI have lost my keys.の1文章だけ見ていても

本質は絶対に理解できません。

大事なのは文脈を考えることです。

ここでイメージするタイムラインは

過去に終了した出来事と、影響を受けている現在の結果です

このタイムラインには完了経験があります

ここから派生したタイムラインが、

過去に始まったことが現在も続いている出来事の現在の結果です

このタイムラインが継続と呼ばれるものです

一方は完了しており、他方は完了していません

どちらも完了相で、結果に焦点がある現在時制です。

進行相のbe動詞が時制を助ける助動詞であるように

時制を表す助動詞haveと本動詞の過去分詞

使って現在時制完了相は作られます。

ではそれぞれのタイムラインを解説していきます。

完了と経験は過去の余韻と結果

完了と経験は同じ出自と言っても過言ではないです。

まずは、2つの例文を比較してみます。

完了と経験の例文と解説

I have finished my homework, so I can go to the party tonight.
宿題は終わっているから、今夜はパーティーに行けるよ。(完了)

I have seen the movie twice, so I want to see another one.
その映画は2回も観たので、違う映画を見たい。(経験)

経験と言うのは過去に完了した行為がある、

という事です。

そして現在「映画を見に行こうよ」と誘われたけど、

提案された映画を観る行為は完了しているので、

同じ映画は見たくないという結果につながっているわけです。

宿題が終わった(原因)、遊べる(結果)

その映画を観た(原因)、違うのが見たい(結果)

ほら、同じですよね。

とても重要なことを言いますね。

終わったよ(完了)の意味になるか

やったことがあるよ(経験)の意味になるか

それを決めているのは「文脈と動詞の性質」です。

「宿題が終わったよ」とは言いますが、

「宿題をやったことがあるよ」とは言わないですよね。

また「映画を(ついさっき)観たよ」は

完了と言いつつも経験の事です。

「映画を観たことあるよ」と意味が同じですよね。

経験とは過去の完了した出来事が現在も事実である

という事です。

つまり、あなたがhave finishedと言った瞬間に

相手は「完了」だと理解するし、

have seenと言った瞬間に「経験」だと理解します。

また、会話をしていると

文脈の中から動詞が浮かんでくるものなので、

完了だの経験だの深いことは考える必要がないんです。

例えば、

もう手紙を書いたよ
have already written

ちょうどメールを送ったよ
have just sent

もう掃除したよ
have already cleaned

ちょうど着いたところだよ
have just arrived

このように完了用法を意識しなくても

「もう」、「ちょうど」のような

意味を含む文脈では

必然的に完了用法になります。

逆に、経験用法にしようとすると特殊な文脈になります。

完了用法とは文脈も使う副詞も異なります。

誰かに手紙を3回も書いたことがある。
have written three times

以前誰かにメールを送ったことがある。
have sent before

以前誰かの部屋を掃除したことがある。
have cleaned before

1回到着したことがある???
have arrived once???

経験用法では特殊なシチュエーション

が必要になり、使用する副詞も異なります。

目的語になる「誰か」は特殊な人ですよね。

つまり、シチュエーションが異なる以上に

特殊であるという事です。

サンタさんに手紙を書いたことがあるとか

社長にメールを送ったことがあるとか

彼氏の部屋を掃除したことがあるとか

arriveに関してはシチュエーションすらない。

このように副詞がある方がより具体的で親切ですが、

副詞がなくても使うシチュエーションが異なるので

何用法かを詮索する必要なんてないと言うことです。

継続用法は状態の余韻と結果を表す

完了や経験は過去に終わった事実の定常状態を表し、

継続は過去に始まってから現在までの定常状態を表します。

そして継続の方が簡単です。

では例文を見ていきましょう。

継続の例文と解説

They have known each other for twenty years.
彼らは20年来の知り合いだ。

She has lived in Tokyo since 2000.
彼女は2000年から東京に住んでいる。

継続用法は主に状態動詞に使います。

状態動詞には進行相がないので、

この用法がないと状態の継続を表せないのです。

They know each other.〇

*They know each other for twenty years. ✖

*They are knowing each other. ✖

She lives in Tokyo.〇

*She lives in Tokyo since 2000. ✖

She is living in Tokyo. △(一時的な居住を表す)

ご覧の通り現在形でも状態の継続を表せないのです。

ここからも分かるように、

継続用法は継続期間にフォーカスがあります

そのため継続用法では状態の継続がどれくらいなのか

その期間を必ず示す必要があります

例文で説明します。

I have used a Louis Vuitton bag.

I have used a Louis Vuitton bag for ten years.

どちらも「ルイヴィトンのバッグを使う」と言う意味ですが、

上は「使ったことがある」という経験の意味

下は「10年使い続けている」という継続です。

まず、上の文章ですが、会話の性質上、完了で使う可能性は低いです。

そしてforやsinceがない文章は絶対に継続の意味になりません

そもそものタイムラインの描き方が違います。

上の文章は過去に使ったけど今は使っていないタイムラインです。

過去に使い始めて今も使っているという継続を表す

タイムラインにはなりません。

「今を含む期間を示す副詞」がないと

完了か継続の意味しかないという事です。

継続のタイムラインを描くためには

「今と言う概念を含む期間を示す副詞表現」

が必要なんです。

現在完了進行形でも解説しますが、

上の文章が継続の意味になる可能性はゼロです。

そして現在完了形の本質を言うと、

「ルイヴィトンのバッグを使ったことある」けど

「すごく使いやすいよね」とか

「結構丈夫だよね」みたいに

現在の話につながる経験に対して、

「ルイヴィトンのバッグを10年も使っている」けど

「結構使い勝手がいいよ」とか

「高いだけあって丈夫だよ」みたいに

現在の話につながっていくわけです。

そして上は使用経験があるだけに対し、下は愛用者であると言う大きな違いがでます。

まとめ

如何でしたか?

現在完了形とは終わったか終わってないかを

伝えるための構文です。

難しく感じるのは文脈を考えないからです。

過去と現在が密接に関連しているという視点であり、

過去が現在に影響を与えているという視点であり、

その影響を現在の視点で見ているので、現在時制です。

本動詞を過去分詞に活用するため時制が分からなくなるので、

haveに助けてもらって時制を表します。

have+過去分詞なら現在時制

had+過去分詞なら過去時制です。

すなわちhaveは時制を助ける助動詞として機能しています。

また、過去分詞は現在分詞と同じく動詞が形容詞化したものです。

分詞participleの語源は

古フランス語の「動詞の形容詞化」

と言う意味の文法用語です。

haveは「所有」と言う「状態」を語源とし、

状態であるために形容詞を後ろに置く連結動詞

のような働きもして「形容詞化した動詞」を

助けるためにチョイスされたと考えられます。

haveは第一助動詞です。

現在完了形の用法は3つですが、

本質は余韻と結果であり

描けるタイムラインは

過去に終わったことが現在に与える余韻と結果(完了と経験)

過去に始まり現在も続いているという余韻と結果(継続)

終わったか終わっていないか、この2つです。

この2つを区別するのは「期間」を示すかどうかだけです。

期間とは前置詞for~を使った「~の間」

前置詞since+時間を使った「ある時から」

接続詞since+文章を使った「誰かが何かした時から」

など「過去と今を同時に含む副詞表現」の事です。

実にシンプルですよね。

あとは副詞がなくても文脈で相手は完了か経験を

判断してくれます。

日本語で考えて見て下さい。

先生や上司から、もう終わったの?と聞かれて

終わったことがある(完了)とは言わないですよね。

その文脈に適した理解の方法と言うものが

あるわけですから、用法はごちゃごちゃ考えないで

本質を掴んでどんどん使っていきましょう。

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