皆さんはit is 構文を理解していますか?It’sって何だろうって思ったことないでしょうか?あるいはどこからやってきたのかと思ったことないでしょうか?日本語の感覚にはないものなので疑問が沸くのもごく自然なことです。今回はどのような発想でitを使うのか基本的なところからお話しして、大きく2つの使い方を解説したいと思います。これを読めばit is構文の使いどころが分かるようになります。
it構文はダミーの主語構文
英語は語順が決まっているというのは皆さんもご存じの通りです。
では、文法上、最初に来るのは何でしょうか?
そうです。主語です。
では主語の本質って考えたことありますか?
答えは後で述べるので、皆さんも考えながら読み進めて下さい。
表現を変えて話を続けますね。
例えば、夏場にエアコンの効いた部屋からでて思わず「熱いな」っていう時ありますよね。
この「暑いな」の主語って何ですかね?
或いは、「もう5時だ」っていう時の主語って何でしょう?
英文法上の主語には、いわゆる動作主が来ますよね。
動作動詞にしろ、状態動詞にしろ、その主と言うものが文頭に来ます。
しかし、こういう表現には動作主と呼べるものが存在しません。
そこで、主語にダミーとしてItを置いて文章をつくります。
It’s hot.
It’s already 5 o’clock.
ダミーなので、主語の中身がありません。
英語ではdummy it(ダミーのit)とかempty it(中身のないit)、あるいはartificial it(人工のit)と呼ばれています。
カラクリ英語ではダミーのit(ダミー主語)と呼びますが、中身がない主語と言えば、なんとなくitを使う感覚が掴めませんか?
代名詞のitであれば、そこには先行詞があります。
例えば、
I lost my glasses. Have you seen it?
眼鏡を無くしたんだけど、(それを)見なかった?
ここでの目的語itはglassesの繰り返しを避けるためのモノですよね。
つまり、itの先行詞はglassesだと明言できます。
中身がないというのは、先行詞が何もなく、また「それ」と指でさせるものもない、と言うような意味です。
では、どういう場合に主が存在せず、中身のない主語を立てるのか?
それは、置かれた状況をアウトプットする時で、主語に出来る人やモノがない時です。
時間や空間から直接受け取った時ものは、主語が立てにくいので取りあえず、It’s…、を口にだして主語を埋めます。
It’s…、hot outside(外は暑いな)
It’s…、cold in here(この中寒いな)
It’s…、raining(雨だ)
It‘s…、cloudy(曇ってる)
It’s…、 such a lovely day.(なんていい天気なんだ)
It’s…、already five o’clock. We have to go home. (もう5時だ。帰らなきゃ)
It’s …、Monday, the second of May.(今日は5月2日、月曜日か)
これらのアウトプットを過去形にした場合には、別の時空における状況説明の応用になります。
It was a sunny day when we went to the picnic.
ピクニックに行った時、よく晴れていたね。
他にもこんな状況説明も可能です。
It’s forty kilometers to the nearest hospital.
一番近くの病院まで40キロもある。
It’s no trouble at all.
全く問題ないです。
It’s a beautiful world we live in.
我々の住む世界は美しい。
It seems as though we wasted our time.
時間の無駄だったようだ。
このように置かれた状況に対してItを主語に用いてアウトプットしていくわけです。
it to 構文はダミーの応用
では、主語とは何かと言う本質について答えたいと思います。
英文法おける主語とは文章のテーマのことです。
テーマとして、動作主に誰(/何)を持ってくるのか、これが文頭に来ます。
例えば、「太郎は昨日ココイチでカレーを食べた」なら、この一文のテーマは太郎です。
仮主語と言われる、it to構文や、it that構文では、「長い主語を嫌うので後ろに持っていく」と解説されますが、「なぜ長いのを嫌うのか」と言う理由までは解説者も知りません。
聞いたことないでしょう?
その理由は、「テーマは出来るだけ短い方が良い」からです。
テーマはダラダラしたものではなく、短くなくてはいけません。
主語にダミーを置く効果は、テーマを手短にitという事で、「後半に本当のテーマがあるんだよ」と予測さて、文章全体をすっきりさせることです。
It to構文のitはanticipatory it(予測のit)と呼ばれています。
ダミーであり、完全に空っぽと言うわけでもない予測の意味が込められたitです。
日本では仮主語と呼ばれていますが、要はフェイクを置いているのです。
では、例文を見て見ましょう。
To have a license when you drive a car is necessary.
車に乗る時は免許の携帯が必要だ。
日本語では特に違和感を覚えませんが、英文では、結論である(たった一言の)necessaryに対してのテーマが長すぎるので、バランスが悪く感じるんです。
It is necessary to have a license when you drive a car.
必要なのは、車に乗る際に免許を持っていくことである。
そこで、結論を先に持ってきて後に続くテーマの想像をさせるわけです。
そのためのダミーのItです。
That Jiro overslept this morning is possible.
次郎が今朝寝坊したという話はあり得る。
こちらの英文も結論のpossibleに対するテーマとのバランスが悪いと感じます。
It is possible that Jiro overslept this morning.
可能性として、次郎は今朝寝坊したのではないか。
結論を先に言って、意味を変えずに効果のみを変えるのがダミーitの役割です。
That the experiment had failed was evident.
実験が失敗したのは明らかだった。
こちらも結論を前に出すことが出来ます。
It was evident that the experiment had failed.
明らかだったのは、実験が失敗だったことだ。
しかし、ダミー主語を置くよりも副詞を使って、短くダイレクトで生き生きした文章を作ることが出来ます。
Evidently, the experiment had failed.
明らかに、実験は失敗していた。
実は、日本の英語教育ではit to構文やit that構文への作り替えばかり注目して、教えてくれる人がいませんが、it to 構文はあまり良い文章ではありません。
なぜなら、これらの構文には意味上の主語があると言われるように、本当の主語を隠してしまうからです。
You must have a license when you drive (a car).
車に乗る時には免許が必要だ。
Jiro may have overslept this morning.
次郎は今朝寝坊したのかもしれない。
このように、意味上の主語を埋もれさせずに、はっきりとしたテーマとして前に出した方が生き生きするんです。
ダミー主語は、最終手段として使うことを意識して他に表現がないかどうかを考えて見ましょう。
まとめ
いかがでしたか?
Itは時間の説明、天気の説明、距離の説明などの状況を説明する際に使われます。
はっきりとした主語がないので、ダミーとしてitを置くわけです。
主語とは、テーマの事です。
テーマは短い方が好まれます。
テーマに対して結論が短い時に主にIt to構文やit that構文は使われます。
to以下、that以下を真主語などと呼ぶと言って真主語から理解しよう(訳そう)としては行けません。
こう考えて下さい。
テーマと結論を入れ替えただけなんだと。
It was evident that the experiment had failed.
実験が失敗していることは、明らかだった。
このit to構文やit that構文に対して、真主語(テーマ)から訳すのではなく、
It was evident that the experiment had failed.
明らかだったのは、実験が失敗していることだ。
と結論から述べている文章なので、結論から理解するようにしましょう。
英語は前から理解するように癖をつけるという事です。
日本語でも結論を先に述べることがありますよね。
It was evident that the experiment had failed.
明らかでしたよ。実験は失敗だったじゃないですか。
日本語にするとどっちが結論か分かりにくくなりますが、重要なのは前から理解するテクニックを身に着けることです。
ここで訳出したような生き生きとした英文を作るためには、意味上の主語を埋もれさるほど、結論が需要なのか、あるいは複雑な状況説明なのかと言うことも要検討です。
It is necessary for you to see a doctor.
必要だ、あなたが医者に診てもらうことが。
(あなたにとって医者に診てもらうことが必要だ)
You should see a doctor.
医者に診てもらった方がいい
書き換えは出来ますが、どちらが生き生きした文章かわかりますよね?
これらの構文にはどこか冷静に淡々とした状況を説明する側面も見られます。
しかし根本的に言えば、英語は日本語よりも会話の速度や展開が早いので、取りあえず状況の結論をitで述べて、その内容をtoやthatで後に述べることで、会話を途切れさせないようにする日常会話のテクニックとしてダミーのitが発展したと考えられます。
Evidently, the experiment had failed.
明らかに、実験は失敗だったでしょうが。
it to構文やit that構文は頻繁に使われますが、同じ構文ばかり使っていると、作文能力がない人と言う印象を与える場合もあると言うことは知っとく方がいいでしょう。
そのためには副詞を使うことも意識すると良いです。
副詞を先頭に使って結論を強調することも可能です。
副詞についてはいくつか記事がありますので是非参照下さい。
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