前置詞inの使い方って意外と難しいですよね?意味を見ても容器のイメージから離れている用法も多々あります。実は容器はコアではなく派生イメージの1つです。少し柔軟に考えれば前置詞inは攻略できます。今回は前置詞inの使い方を3つに分けて解説します。さらに前置詞inが「中に」ではなく「後に」の意味を持つようになったカラクリも解説します。この記事を読めば前置詞inの感覚がほぼ掴めます。久しぶりの投稿になって申し訳ないです。
前置詞の使い方①空間
前置詞inを場所として認識している時、
それは囲まれた空間を意味しています。
In the box
In the pocket
In the room
In the house
In the building
In the restaurant
In the village
In the city
In Tokyo
In Japan
In the world
boxからrestaurantまでは容器としての実物がありますが、villageからworldまでは容器としての実物はありません。実物があってもそれは空間として認識します。
そして空間の規模は大小さまざまですが、その空間での存在だけでなく、その空間での活動を言いたい場合にも前置詞inを使います。
The kitty is in the box.
子猫はその箱の中に居る。
(空間での存在)
Taro is swimming in the pool.
太郎はプールで泳いでいる。
(空間での活動)
前置詞inの「の中に」と言うイメージから、水の中という意味もありますが、そもそも泳いでいるその空間を表しています。水の中に浸かっている部分だけの話ではなく、その空間に包まれているという感覚です。
空間が意識されると通常ならonでもinを使います。
Sit on the chair 椅子に座る。
(表面に接触)
Sit in the armchair ひじ掛け椅子に座る。
(空間認識)
同じ椅子でも囲まれた空間が意識されます。
特定の行為が行われる空間ではその最中にと言う意味を
持つこともあります。
In the meeting 会議で、会議中に
In the party パーティで(に)、パーティ中に
In the play 劇で(に) 芝居中
In the match 試合で(に)、試合中、
また空間認識では、行列に並んでいるような場合もinを使います。
in a line縦列に
in a row横列に
On a lineでも良さそうですが、絶妙に横へずれている場合、この人は並んでいるのか?と思いますよね。つまり単なる線で認識しているのではなく3次元で認識しているのです。
因みに、な話が2つあります。
1つは冠詞の話です。
主語が列の一員なら冠詞のaを付けません。
The kids are standing in line.
子供たちが列に並んで立っている。
主語が列を作っているなら冠詞のaを付けます。
The kids are standing in a line.
子供たちが列をなして立っている。
もう1つは、in lineをon lineと言う地域もあります。
これは単に3次元で見るか2次元で見るかの違いしかないので、どちらかが間違いという事ではないのですが、inを使う方が一般的です。
そして輪になるという場合もin を使います。
The kids are dancing in a circle.
子供たちは輪になって踊っている。
縦でも横でもなく輪を作っている言う空間認識です。
列の変形と考えれば分かりやすいですよね。
さらにモノを半分にする場合も前置詞inを使います。
cut the orange in half
オレンジを半分に切る
オレンジを2つの空間に分けるという意味です。
前置詞inの使い方②内容
空間を表す時にはinの後に続く名詞が容器になっています。
例えばin Japanなら日本が容器ですね。
帽子や服を容器に見立てることもありますよね。
Men in black
黒服の男たち
the boy in a hat
帽子をかぶった少年
the student in uniform
制服をきた学生
でもinの後が容器の中身になっている場合があります。
そこが前置詞inのややこしいところです。
Hanako is interested in French.
花子はフランス語に興味がある。
こちらは中学英語で習う熟語be interested inで、
花子の気持ちがフランス語に包まれているという風な
理解も出来ますが、興味の内容だとも解釈できます。
つまり、興味がフランス語を包んでいるわけです。
もちろん受け身の文なのでネイティブ感覚では
前者の包まれている方が正解に思えます。
でも逆転現象が起こる能動態の文章もあります。
Hanako majored in French in college.
花子は大学でフランス語を専攻した。
これは受け身ではありません。
専門としている分野の内容を言っています。
分野の範囲はここだよと言う具合に
3Dで切り取ってやるわけです。
そもそも場所を表すinも立体的に空間の範囲を
切り取っているとの解釈も出来ます。
in collegeでは大学と言う空間を包んで切り取っています。
このようにinには立体的に包むという感覚が内在しています。
それが容器を表したり容器の中身を表したりしているのです。
He believes in God.
彼は神の存在を信じている。
これも神に包まれているようですが、信心の内容を包んでいます。
He believes in Hanako.
彼は花子のことを信じている。
これなら信念の内容を包んでいますよね。
花子の中に何かがあると解釈するには無理があります。
I was disappointed in you
貴方にはがっかりした。
このように失望感で相手を包むこともあり、
信念や感情を伴って、inでその内容を表します。
逆に感情に包みこまれたりするという
場合にも前置詞inを使って表現します。
In sadness悲しみで
In anger怒りで
In love with you あなたに恋して
前置詞inの使い方③世界観
前置詞inの使い方の中でもさらにコアイメージから離れているのではないかと思うような使い方もあるので、解説したいと思います。
①Taro speaks English.
太郎は英語を話す。
②Taro speaks in English.
太郎は英語で話す。
文法上どちらも正しく、意味も似ていますね。
どちらも太郎が英語を使えることに違いはないです。
恐らく皆さんも見慣れている「in English英語で」に、なぜinが使われているのか気にしてこなかったと思います。
日本語で考えて見るとシチュエーションが若干異なってくるのではないかという事は分かると思います。
それは英語も同じです。
②のin Englishは「英語を使って」と言う意味なんですが、
「使って」ならwithでも良さそうですよね。
③Taro cut the tree with the ax.
太郎はその斧を使って木を切った。
前置詞inの「使う」では概念や物質などの不可算名詞を扱います。
前置詞withの「使う」では物体として普通名詞を扱います。
だから、②は冠詞がなく③は冠詞(あるいは所有形容詞など)が必要です。
④Should I fill out this form in pencil?
これって鉛筆で記入した方がいいですかね?
⑤Should I fill out this form with a pen?
これって鉛筆で記入してもいいですかね?
同じ意味のようですが、実は含みに違いがあるため訳も違います。
⑤は鉛筆の方が本人にとって使いやすいからとか、鉛筆しか持ち合わせていないからなどのシチュエーションで、道具としてのチョイスを聞いています。
一方で、④は素材としてのチョイスを聞いています。素材としての本質は「消しゴムで消せる」という事です。つまり、いつでも消せるように「鉛筆の方がいいのか」と聞いているのです。
このようなinを使った表現には以下のようなものがあります。
write in ink インクで書く
paint in oils 油絵具で描く
work in bronze 青銅で制作する
speak in English 英語で話す
その概念や素材が持っている世界観がありますよね。
世界観って言えば、なんとなくinを使うのも理解できませんか?
日本語と英語のバイリンガルも話す時には言語によって性格が変わります。
それは言語が作り出す世界観が違う事を意味しているんです。
This painting is mostly in blue.
この絵はほとんど青で描かれている。
青が描き出す、あるいは青が描き出せる世界観ってありますよね。色が人に与える心理学もあります。なんとなく「Men in black 黒服の男たち」の延長線にある表現のようにも思いませんか。
覆っている素材感をイメージさせます。
This jacket comes in three colors.
このジャケットは3色ご用意出来ます。
This jacket is available in three sizes.
このジャケットは3つのサイズご用意出来ます。
展開色やサイズの内容が3つあるとも取れますし、
3つの異なる世界観があるとも解釈出来ます。
このように色やサイズなどもinで範囲を包んで、
その世界観を表すことが出来ます。
in two weeksはなぜ2週間後なのか?
前置詞inの使い方で意味が全くわからないと思うものに、in two weeksのような時間表現があります。
これって「2週間以内に」と言う解釈がしっくりきますよね。
でも、辞書では「2週間後」と言う意味になります。
実は文脈がない場合、ネイティブでも2週間以内という捉え方をする人が結構います。
でも文脈があると圧倒的に2週間後なんです。
少し短い時間で例を出します。
例えば用事があって友達に電話します。
でも友達の都合が悪くて
「1時間以内には終わるから」
と告げられたとします。
「1時間以内に終わる」と言えば
「1時間後には折り返す」と言う含みや
「1時間後に掛けなおして」と言う含みがありますよね。
つまり、次の行動を起こすのは1時間後です。
だから、文脈の中では「後」と言うニュアンスが出てきます。
Taro will be back in two weeks.
太郎は2週間後には戻ってくる。
もし、2週間以内と解釈するなら
明日帰ってきても言い訳ですが、
それならyesterdayと言うでしょう。
それは、2日後でも3日後でも同じです。
つまり、2週間以内と考えるにはやや非合理的なのです。
2週間以内とは最大で2週間後なので、
それ以降にまた連絡下さい。
と言う合理的な解釈が文脈から生まれるのは自然なことです。
辞書には「後に」とありますが、「後には」の方が実態をよく表しています。
まとめ
如何でしたか?
前置詞inの3つの使い方についてイメージ化できたのではないでしょうか?
前置詞inは空間認識と言うのがコアイメージです。
空間認識するときにそれが容器にもなれば、容器の中身にもなり、また素材のもつ概念は、包み込むような世界観を表したります。
概念は線や面での存在ではなく我々の頭の中、すなわち空間に存在しますよね。
容器の中身は空間認識の派生イメージの1つです。
空間で包んだり、包まれたり、それが前置詞inです。
さらにin two weeks のような使い方では、
2週間以内に≒2週間後には→2週間後に
と言う派生も理解できたと思います。
お気づきの方もいるかと思いますが、
実は今回「時間のin」の使い方を解説していません。
前置詞atの解説をしていないからです。
前置詞at、on、inの比較で扱う方が分かりやすいので
次回は場所を表す前置詞atをinと比較解説して、
その次に「いつ」を表す、前置詞at、on、 inの比較をやりますので
楽しみにして下さい!
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