前置詞forのイメージを目的と思っているなら、あなたは間違っています。確かに辞書でもイメージ化は「目的地」で書かれていますが、それではforのすべてを理解できません。真のイメージを誰も知らないからなのです。僕も何年も何年も悩んでアハモーメントを迎えたので、知らなくて当たり前です。今回は前置詞forの真のイメージを皆さんにお伝えしたいと思います。今後はforをイメージしやすくなります。
前置詞forのコアイメージは「前のモノとの交換」
前置詞forの語源は for 「前に」です。
前置詞toとforはどこか似ていますが、
toにあってforにないものがあります。
前置詞なので必ず名詞の前に置くのですが、
その発展形として、toの後に動詞の原形を
置く用法が生まれましたが、forは動詞を
名詞化して置くという違いがあります。
つまりforの後は必ず名詞です。
一部形容詞もありますが、
動詞を動詞として使う用法は
ありません。
すごく不思議だなって思いませんか?
モノしか置けないという事はですよ、
モノに始まりモノに終わる、
モノの取引の中で熟成された前置詞が
forだという事です。
つまり名詞の前で何かが起こる
と言うのが根源にあるわけです。
もちょっと具体的にしましょう。
例えば市場でモノを買おうと
店の主人とやり取りをします。
5 pounds for the bread.
パンの前の5ポンド
そのパンの前に5ポンドを置いて
「5ポンド分のパンをくれ」
を意味し、取引をすれば、
① I paid 5£ for the bread.
私はパンに5ポンド支払った。
こんな風にパンを前にして
いくら支払ったかを表すことが出来ます。
逆にこんなやりとりも可能です。
The bread for 5 pounds
5ポンドの前のパン
有り金の5ポンドを目の前に差し出して
「そのパン、5ポンドでどうだ」
と言うことも出来て、購入できれば、
② I bought the bread for 5£.
私はパンを5ポンドで買った。
と言う文章を作ることも可能です。
forの前後で名詞が入れ替わりましたね。
①と②では動詞の目的語に違いがあります。
お金なのかモノなのか違いがあるだけで、
モノとお金は同じ価値なのだから、
forの前後には交換可能と言う関係性があります。
また、パンにしろお金にしろ、
For○○の○○は前提条件であり、
動詞の性質によって前提条件に
置くべきモノが違うだけとも言えます。
訳を変えて、もう一度見て見ましょう。
① I paid 5£ for the bread.
パンを前にして5ポンド払った。
5ポンド払ったのは前にパンがあったからだ。(原因)
5ポンド支払い、パンに変えた。(交換、形を変える)
目の前のパンが欲しかったので5ポンド支払った。(願望や欲求)
② I bought the bread for 5£.
5ポンドを前に提示してパンを買った。
パンを買う前に5ポンドを提示した。
5ドルと引き換えにパンを買った。
5ドルと提示したので、パンが買えた。
このようにforには「前」と言う
キーワードが内在していて、
交換を意味するforは習うのが遅いですが、
実は、かなり初期の段階で使われていた
交換のforからいろいろ意味が派生した
のではないかと思われます。
前置詞forには「目的」のイメージはない
前置詞forの中心的な意味は
「目的地に向かうイメージ」だと
言われますが、実は全然違います。
これも実に不思議なことですが、
forには向かう先にある「結果」
を意味する用法が存在しません。
今のイメージではforの一部しか理解できません。
実際には、向こうからやってきたイメージです。
それが「前」を理解するのにピッタリなのです。
以下の2文を比較のため意訳してみます。
③I`m going to Paris.
パリを目的地として移動する。
④I`m leaving for Paris.
パリに行く事情があるので向かう。
③は矢印が現在地からパリまで
行くという動作でつながっています。
④は出発する理由がパリにあるので、
forパリから出発と言う動作に連結します。
つまり、パリと動作の関係性は
「パリへの用事が出来た」が前(for)で、
その後に矢印が出発の動作に向かっているのです。
それを意味づけると「目的」になるので、
「どこどこへ向かう」と言う
あたかも矢印が目的地に伸びているような
間違ったイメージ化につながっているのです。
本来の矢印にするとこうなります。
for Paris→I`m leaving→I`m going→to Paris.
用事があるからその場を去る、移動する目的地まで。
このように「理由」があって出発します。
だからforには「結果」用法がなくて
「理由」や「原因」の用法があるんです。
次に、見て欲しい文章があります。
He can’t see the forest for the trees.
これは諺ですが、意味が分かりますか?
彼は木の前にいるせいで森が見えてない。
些細なことにとらわれすぎるという
意味の「木を見て森を見ず」です。
このように前置詞forは「行動や状態の前にある」
理由や原因の意味が濃厚に現れるのが分かります。
Mary made a cake for Tom.
メアリーはトムためにケーキを作った。
トムがいるからケーキを作るのです。
大切な人を目の前に思い浮かべて
行動を起こすわけじゃないですか。
トムを想い浮かべたらその映像が
ケーキの映像に切り替わったわけです。
つまり、ここにも交換性があるわけです。
Vitamin C is good for your health.
ヴィタミンCは体にいい
あなたの健康を目の前に思い浮かべて、
ヴィタミンCがいいよって勧めています。
I can use a bucket for a chair.
椅子の代わりにバケツを使えばいい。
椅子を目の前に思い浮かべたが、
バケツしか見当たらないので
椅子とバケツを同じ用途に使えると
考えて交換性のforを使っています。
Taro will vote for Jiro.
太郎は次郎に投票するだろう。
次郎が居る(前)から票を投じる(後)のです。
つまり、太郎は次郎に突き動かされているわけです。
そして、「この一票」が「代表権の獲得」に変換される
と言う交換性を表しています。
だから、代表を選ぶような動詞や、
賛成を意味する文章ではforが使われます。
Are you for or against her plan?
彼女の計画に賛成ですか反対ですか?
あなたがいるのは彼女の示した計画の前なのか、
それとも彼女の提示とは反対の方向にいるのか、
〇✖クイズの〇の印の前かそれとも✖印の前か、
そんな選択肢を突き付けているイメージです。
では、最後に期間を表すforの意訳です。
I have studied English for ten years.
私は英語を勉強しているが、それを時間に変換すれば10年だ。
交換性があるのが分かりますよね。
まとめ
如何でしたか?
前置詞forのイメージは「向かう」ではありません。
「向かう」のはむしろtoのイメージです。
何らかの事情が向こうからやってくるんです。
元々は「前に」を意味しています。
パンを前にして5ポンド置くか、
5ポンドを前にだしてパンをくれと言うか、
パンと5ポンドの語順が入れ替わったところで、
お互いがお互いの前にあるわけだし、
同じ価値なのだから、入れ替わっても
問題はないわけです。
このように前置詞forは「前」を語源として、
原因や理由を表し、前の事情を起因として
動作や状態が生じて文章が成り立っています。
目的とは最終的に到達したい的の事です。
それはtoの派生イメージであり、
前置詞forには到達のイメージはありません。
到達すべき結果のイメージもありません。
「目的」ではなく、「原因」と「理由」です。
それが「前に」のイメージとイコールなのです。
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