助動詞mayの意味「可能性」は50%ではありません!

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助動詞mayには大きく「かもしれない」と「しても良い」の意味がありますが、共通点が分からず、覚えられない人もいるでしょう。訳が沢山あったとしても本来の意味は1つです。用法だけ覚えるのは退屈です。今回は語源に含まれる元の意味からどのように用法が展開されてきたのか、その考え方について例文解説します。この記事を読めば、助動詞mayのコアなイメージが分かります。

助動詞mayの意味と用法を例文解説

それでは早速語源を解説し、

用法の派生について順番に解説します。

助動詞mayの意味は能力

語源は古英語のmæg で、過去形mightは

meahte, mihteでした。

意味は「能力があるbe able」です。

be ableは現在、言い換え表現として

助動詞canがその中心を担っていますが、

かつてはmayがbe ableだったのです。

助動詞mayの能力の意味は失われていますが、

過去形mightの形容詞が意味を継承しています。

オールマイティal-might-yと言えば、

全能を表す形容詞の事で、しばしば、

God Almightyで全能の神を

表すことでも知られています。

ファミコン世代の方は

マイティ・ボン・ジャック

と言うゲームソフトがあったことを

覚えていることでしょう。

Mighty Bomb Jackは

能力を意味するキャラクター名です。

助動詞mayには能力の意味が

継承されていないため、

能力の意味がどのように

派生したかを考えるしかないのですが、

想像力を広げることで、

助動詞mayの理解は可能です。

助動詞mayの能力者からの許可

古英語よりずっと昔のインドヨーロッパ祖語には

「能力がある」と「力を持っている」

と言う意味があったのではないかと言われています。

「力を持っている」は古フリジア語で

継承されてきました。

この、「能力がある」と言うのは

権力者の持つ不思議な力の事です。

使役される個人のいろんな能力には制限が

あったと考えられます。

いつだって権力者には逆らえません。

そこで、権力者がyou mayと発話することで、

「~してもよろしい」と言う許可の

意味が生まれたと考えられます。

You may go there right away.
早速、そこへ行ってよろしい。

このようにmayの許可の訳出は

「~してよろしい」という

古風で、上から目線の和訳が

目に付きます。

Youを主語にして目上の人に

助動詞mayを使うと失礼になる

と言われるのも、もともと

「そのことは君に任せよう」

と言う権力者側の発言なので、

上下関係を感じると言う事情があります。

You canの許可の方が上下関係を

感じさせず、マイルドです。

一方で、May Iの場合は、

私がしてもよろしいか?

の意味になるので、

I を主語にしたmayの許可は

丁寧な響きを伴います。

May I use the bathroom?
お手洗いを借りてもよろしいですか?

May I come in?
入ってもよろしいですか?

Can Iの方が上下関係がない分

カジュアルに使われています。

Can I use the bathroom?
お手洗いを借りられますか?

Can I come in?
入ってもいいですか?

そして、否定文にすると禁止を意味します。

You may not smoke in here.
ここで煙草を吸ってはいけない。

許可できません、と言うわけです。

助動詞mayの許可に含まれる可能性

ここで4つの日本語の比較を御覧ください。

1,行きなさい。(命令)

2,行くべきである。(義務)

3,行った方がいい。(推奨)

4,行ってもいい。(許可)

この中で、話者が「行く」選択肢を与えているのは、

許可の「行ってもいい」と言う表現だけです。

行ってもいいけど、行かなくてもいい

許可とは1つの選択肢を与えることです。

つまり、話者の立場から

許可を与えたが、行くか行かないかは

完全に主語の自由だ

という含みが出るのは4だけです。

選択肢を与えた話者から見れば、

主語は行くかもしれないし

行かないかもしれない

と言う解釈ができるわけです。

これが、助動詞mayの「かもしれない」

と言う主語の可能性、話者の推量です。

Taro may come here tomorrow.
太郎はあすここに来るかもしれない。

ここに含まれるmayを未来形と

習った人はいないでしょう。

Taro may come tomorrow

Taro will come tomorrow

現在時制の未来表現です。

推量の度合いに差があるだけです。

It may be true.
本当かもしれない。

このようにmayは許可から

推量へと意味が派生します。

時々wellを伴って

十分可能性があることだ

を意味することがあります。

Taro may well think so.
太郎がそう考えるのももっともだ。

Hanako may well believe it.
花子が信じるのも無理はない。

wellの語源は「満足がいく」なので、

その可能性に満足のいく根拠はある

と言うニュアンスになります。

これは認容と呼ばれる用法で、

可能性を受け入れることです。

You may as well と言う用法もありますが、

こちらは比較表現なので、比較で取り上げます。

助動詞mayの最古形は祈願?

最後は祈願文と言う用法です。

結構古いように感じますが、もともとの祈願文はmayを伴わないものだったようです。

May you succeed!
ご成功を祈る

疑問文のようにmayを文頭に置いて

「願わくは」とか「させたまえ」

と言う意味になります。

あなたに成功する力が授かりますように。

という事ですね。

新年のあいさつなどにも使われます。

May the New Year bring you joy!
喜ばしい新年を迎えますように!

新年があなたに喜びを運んできますように。

と言う意味です。

May the Force be with you!
フォースと共に有らんことを!

さらにスターウォーズファンなら

一度は聞いたことがあるかもしれません。

May God be with you!
神と共にあれ!

実はこの祈願文の音の短縮が、

現在のGood bye!です。

Mayとwithの音が失われていますが、

Good=God b=be ye=youです。

日本語にはない表現ですが、

「神のご加護」を願う別れの挨拶が

Good byeなのです。

まとめ

如何でしたか?

この祈願文を見るだけでも

助動詞mayが「不思議な力」を

表していたことが伺えますよね。

Mayは権力者の不思議な能力を

意味する言葉でした。

支配される側にとって

支配する側の力と言うものは

なんとも神っていたことでしょう。

権力者がYou mayと言えば、

それは、「してもよろしい。」

と言う力を授ける行為です。

被支配者がMay Iと聞けば、

「私にその権限を与えて下さい」

というという意味です。

これが許可と依頼の関係です。

許可は与えられたが、最終判断は

与えられた者の自由です。

その権限を実行するかもしれないし、

実行しないかもしれません。

許可をすることは、

1つの可能性を授けた

と言う事でもあります。

助動詞mayの「かもしれない」可能性は

50%の可能性とよく言われます。

でも、本当に50の確率なら、

mayの否定は必要ないはずです。

だって、may=may notになるので

notを追加するなんて無意味です。
(無意味なことをするのが人間でもありますが)

不思議なことに、50%と言いきってくる

ネイティブですらmay=may notと思っていません。

現実問題、両方の言い回しが存在するので

50の確率ではないという事です。

では、いったいどんな含みなのか?

助動詞mayの「行くかもしれない」は

話者の「行く可能性の方が高い」

と思う気持ちを含み

「行かないかもしれない」は

話者の「行かない可能性の方が高い」

と思う気持ちを含む表現です。

そもそも、「行きたい」から

「行く許可」をもらうのであって、

許可された時点で「行く可能性」

の方が上回っています。

それでも、「行く、行かないは自由だ」

と言うのが、話者が思うmayの推量(可能性)です。

つまり、人を主語にした場合、

彼は行く気がありそうだ

彼は行く気がなさそうだ

と言う感覚が助動詞mayの

推量表現「かもしれない」なのです。

「行くかもしれないし、行かないかもしれない」

こう思って初めて50:50の関係です。

つまり、その本心は「全く分からない」

と言う事と同じ価値なのです。

日本語の「かもしれない」の用法と

全く同じですよね。

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