助動詞must+haveの過去分詞は「推量」だけと思っていませんか?

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助動詞must の過去表現は「推量」の意味しかないと習いませんでしたか?実は「義務」の意味もちゃんとあります。それだけではなく助動詞mustの解説では間違いが散見されます。今回は、助動詞mustになぜ過去形がないのかを語源から解説し、意味や用法、解釈の仕方など、例文を用いて解説します。この記事を読めば、助動詞mustの理解が深まり、より使いやすくなります。

助動詞mustのコアの意味

助動詞mustに過去形がない理由

助動詞mustの語源の話をする前に、

なぜ助動詞mustには過去形がないのか

不思議に思ったことはないですか?

また、なぜ人称変化がないのか

不思議に思いませんでしたか?

実は、助動詞mustは元々過去形

だから、その過去形と言うのはないし、

過去形と言う活用形だから、

人称による活用がないんです。

助動詞mustは「義務付ける」の意味

motanの過去形mosteが語源です。

助動詞mustに限らず法助動詞は

もともと原形ではなく過去形を

語源としています。

過去形を現在形として使うようになったため

空席になった過去表現に新しい過去形が

誕生して、現在でも使われていますが、

mustだけ過去形が現在まで空席のままに

なっているのです。

助動詞mustの過去表現には

代用表現を用いることも出来るので、

空席のままでも支障がでなかった

という事は言えるかと思います。

では、助動詞mustの意味に戻って、

語源の「義務づけ」について結論づけると、

義務付ける人には「絶対にしなさい」

という心理が働くことになります。

この話者の「絶対感」が助動詞must

に秘められた深層のイメージなのです。

(主語の絶対感の時もあるので注意。)

そしてこの話者とは支配者の事です。

権力のない人からの義務づけは

出来っこないですからね。

では順番に用法を確認してみましょう。

助動詞mustの使い方例文解説

助動詞mustの「必要」「義務」「命令」を表す用法

We must eat to live. (必要)
生きるためには食べないといけない.

生きるには食が絶対ないとダメ

と言う事です。

You must do as I said.(義務・命令)
言われた通りにしなさい。

You must be more polite.(義務・命令)
もっと礼儀正しくしなさい。

言われたことを絶対にやらなきゃダメ

絶対に礼儀正しくしなきゃダメ

と言う事です。

Taro must always have his own way. (主張)
太郎はいつも思いどおりにしなければ気がすまない。

絶対に思い通りにならないとダメ

と言う主語の絶対感です。

You must go to Fukushima!(推奨または命令)
是非、福島に行った方がいいよ!

絶対に行ったがいいよ

と言うお勧めですが、文脈によっては

「絶対に行かなければいけない」

と言う命令にもなり得ます。

All life must die.(必然)
全ての生物は必ず死ぬ.

全ての生き物は絶対に死なないといけない

(そう言う定めである)と言う事です。

助動詞mustの否定は禁止と拒絶

また否定文を作ると「禁止」を表します。

You must not do such a thing!
そんな事をやってはいけない!

やらないことを義務づけて

絶対にするなと言っているわけです。

禁止は主に相手(2人称)に対して使います。

そして、実質的には命令形の

Don’t do it!と同じ意味です。

3人称を主語にした場合は、絶対にさせない

と言う「強い拒絶」の意味になります。

He must not do it!
絶対に彼にはやらせない。
(or彼にはやらせるな)

彼にやらないことを義務づける

このようにmustの否定は助動詞とは

結びつかず動詞のみに結び付ついて

います。

助動詞mustの「推量」

助動詞mustの現在の推量

You must be kidding.
冗談でしょ!

直訳なら「冗談に違いない」ですが、

「絶対に嘘だー」と言う感覚です。

Taro must know this.
太郎はこのことを知っているはずだ。

Hanako must be happy.

花子は幸せにちがいない。

「のはずだ」「違いない」には、

「絶対に知っている」

「絶対に幸せだ」

と言う含みがあるのが分かります。

「となりのチカラ」と言う松潤さんの

ドラマを見たことある人なら、

「僕たち絶対どこかで会ってますよ」

と言うセリフがあるのをご存知でしょう。

「どこかで会ってるはずだ」

と言い換えても大差ないこと

分かるはずです。

助動詞mustの「推量」過去形代用表現

We must have met each other before.
僕たち絶対どこかで出会ってますよ。
(我々は以前会っていたはずだ)

Taro must have been very young.
太郎はきっとまだ若かったんでしょう。
(太郎はまだ若かったに違いない。)

このように過去の推量には

must + have + 過去分詞

を使いますが、最初の説明通り

mustの過去形がないからです。

(過去形として使う用法もあります。)

よく参考書や、英語を教えるサイトでも

「過去形にはmustと現在完了形をつかう」

と書かれていますが、実は違います。

そもそもmustが現在形で現在の推量を

表しているから現在時制なんです。

「絶対にそうだ」と思っているのは現在です

つまり時制を担当しているのはmustです。

だから助動詞mustの後は必ず原形です。

主語がhe やsheでもhasにならないのは

時制を担当しない原形だからです

「have+過去分詞」の「have」は原形です。

だから現在完了形ではありません。

現在完了形はhaveが現在形の事を言います

現在時制を表す助動詞must「はず」

時制を持たない単なる完了形「終わった」

併せることで、単なる「終わったはず」

と言う過去の推量を表しているのです。

助動詞must haveの「義務」表現

また、must haveは推量の過去表現で

「義務表現がない」と教わりますが、

実は、これも間違っています。

ある時間を設定して、その時間までには

絶対に完了していなければいけない。

こういう表現はmust have 過去分詞

でしか表現できません。

例えば、入学や入社、入団の必須条件です。

「~はマストだ」と書かれているのを

見たことがある人もいますよね。

However, the entry requirements for next season’s FA Cup state that new entrants must have played in the FA Trophy or FA Vase this season to be considered, while Saints’ artificial pitch could also fall foul of regulations.
しかし、来季FAカップの出場資格では、今季FAチャンピオントロフィーまたはFAチャンピオンヴェイスで戦っていることを新規参入クラブに義務づけていて(新規参加チームはプレーを完了しなければならない)、またセインツの人工芝が規制に抵触する可能性もある。

BBC SPORTS

BBCのスポーツニュースでも扱っています。

つまり、広く知られた用法なのです。

挙げると長くなってしまいますが、

海外の大学などの入学必修条件でも

よく使われている用法です。

この文脈で「違いない」とは解釈できません。

必須条件とは経験を義務づける

ことなので、must have 過去分詞

しか表現しようがないんです。

このようにmust+完了形の経験用法で

使われるため「しなければならなかった」

の過去形が存在せず、この意味では

had toが代用されます。

助動詞must「推量」の代用表現

助動詞mustの「推量」には否定形が

ありませんが、日本語で考えれば簡単に理解できます。

例えば、mayやcanの「あり得る」なら、

「あり得ない」と言う否定が可能ですが、

「違いない」を「違いなくない」は言いません。

「はずだ」「はずではない」は成り立ちます。

しかし「こんなはずではない」は

現在のあり得ない状況を表すので

「あり得る」「あり得ない」を

意味するcanを使って否定文を

作ります。

推量の否定はcannotで代用します。

助動詞mustの否定は「禁止」の意味だけです。

(近年のアメリカ英語ではmustの推量否定も

許容され始めています。)

You must not do it.
あなたがやらないことを義務づける。

「違いなくない」と言う表現はないので

mustの否定は助動詞ではなく

本動詞と強く紐づいています。

よって「助動詞mustの否定」というより、

「助動詞mustの文章における本動詞の否定」

と言う方が厳密です。

他の法助動詞は助動詞の否定も可能です。

notの位置は同じで、音の抑揚で変えます。

助動詞mustとmayやcanの「禁止」の違い

では、mustの禁止とmayやcanの禁止

におけるニュアンスの違いを解説します。

目の前である2人の人物がいたとします。

「もう行ってもいいですか?」

と言う意味の事を1人が他方に

言って、それを断ったとします。

You must not go!
絶対に行かせない。

助動詞mustは義務付けなので

行かせるわけにはいかない根拠を

話者が持っていて、強い気持ちと

強い口調でNoと言っている雰囲気です。

You may not go!
許しません。

助動詞mayは権力者の不思議な力

なので、この2人は上下関係があり、

両親と子供、先生と生徒、上司と部下

の関係性があるような雰囲気です。

You can’t go!
今はダメ

助動詞canは特定の状況下で

相手の能力に制限を掛けたり

解除したりするので、

「今はまだそんな状況ではない」

と言った雰囲気を持っています。

ひょっとすると「行かせてやりたいが」

と言う気持ちを持っているかもしれません。

まとめ

如何でしたか?

「せざるを得ない」

「しないではいられない」

「しないと気がすまない」

「どうしてもしてしまう」

「しなくっちゃ」「に違いない」

「のはずだ」

全て「絶対感」に集約されます。

それが助動詞mustです。

「必要」用法は形容詞化されていて

ビジネスシーンなどでも使われます。

「上司への報告はマストだ」

或いは名詞化されて「必需品」の意味で

「キャンプに寝袋はマストだ」

と言ったりもします。

こんな風に「必ず要する」という事は

「絶対要る」と同じ意味です。

意味も分からず「マストな必需品」と

間違ったライターさんも見かけますが、

「必要な必需品」と言う重言です。

マストの意味を知った皆さんなら、

間違えることはないでしょう。

助動詞は時制を担当します。

そのためmustの後は原形です。

過去表現をしてもそれは変わりません。

「must + 現在完了形」ではく、

must + 原形完了形」と名付けて

おくので、ぜひ覚えておいてください。

推量の過去表現では「であるに違いなかった」

と言う和訳を見かけることがありますが、

mustは現在時制、本動詞は完了なので

「であったに違いない」が正しい表現です。

またこの「must+原形完了形」表現は

「推量」だけではありません。

「経験の義務づけ」の意味である

「マストだ」も含まれます。

最後にmustの推量の確信度をお伝えします。

確信度についてはmustが上にいるので

willは100%ではないという話をしました。

mustの確信度はwillよりも

何かしらの証拠をもっている

雰囲気を感じる。

以前こんなことを言った

ネイティブがいました。

人によって感覚が微妙に異なるため

willの確信度が何%とは言えませんが、

(法助動詞は心的態度を表すものなので

人によって微妙に違って当たり前)

一般的には法助動詞mustの確信度は

最上位に定義されています。

そしてmustのコアには「絶対感」が

あるため確信度が100%そうだと

思っているときに使います。

実際に「確信」と異なることが

起こってもそれは推量だから仕方が

ないことです。

初めから決めつけて「絶対だ」

と言うのは迷惑なこともありますが、

「確証」を持って「絶対だ」と思っても

見逃している要素があるという事は

誰にだって起こり得ますからね。

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