単複同型とは不可算名詞なのではありません!

単複同型、魚や羊はなぜ形を変えない?

複数形は単数形を何かしら変化させるのに変化しないって不思議ですよね。英語の歴史を追求すれば変化しない理由が分かります。歴史の流れをイメージできれば単複同型の名詞を記憶しておくのも簡単です。今回は、単複同型とは何か、なぜ生まれたのかを説明し一覧の解説をします。今後は単複同型のことで悩むことはなくなります。

単複同型は音韻上偶然生まれた。

単複同型zero pluralとは数えられる名詞でありながら、

個体が複数でも単数形と同じ型を取る名詞のことです。

可算名詞なのに」と言うのがポイントです。

可算名詞の複数形は-sをつける等、何かしらの変化が起こります。

でもそもそも日本語の感覚からすれば変化させる方が不思議です。

だって数字を変えるだけで複数って伝わるじゃないですか。

羊1匹、羊2匹、羊100匹

ほら、羊は変化させなくても伝わりますよね。

でも変化させるのが英語だから仕方ないです。

じゃあ、なんで変化しない名詞があるのでしょうか?

実はちゃんと理由があります。

古英語(450~1100年頃)より前の時代に、

羊1匹をsceap、2匹以上をsceapuと変化させていたようです。

でも「シープ(厳密な発音はシャーPuではなくPの母音uがない音)」と「シェアオプ」と音が似ていますよね。

この伸ばす子音の後の子音「p」の後にある

「u」音が消える現象が起きます。

その理由は、ほとんど音に差がなく

話しやすいからとしか言いようがないです。

何かしらの音韻変化説は最もあり得る話だと思います。

音が消える現象は日本語でもあります。

「いいですか」を「いいすか?」って言いますよね。

これもなんで「で」を抜くの?って聞かれたら

話しやすいからとしか答えようないですよね。

このように音が消えた状態で既に古英語時代には

単複同型として存在していました。

これと同じ現象がdeer(鹿)とswine(豚)にも起こりました。

中英語(1100~1500頃)に多くの名詞の複数形に

-sをつけるようになった時にも

食用動物には-sを付けませんでした。

その理由はよく分かりませんが、羊、鹿、豚を食べる習慣と

そのような名詞が単複同型と強く結びついて変化を嫌ったようですね。

もともとfishには複数形がありましたが、食用なので付けなくなります。

一方で、馬も単複同型だったけど、複数形にするという流れに乗っかったのは

1人1人が乗馬した場合には、1頭1頭と言う感覚が強くなるからでしょうね。

食べる習慣もなかったでしょう。

そうやって何らかの理由で食用とそうでない物に分かれたんです。

今では、群れを意識させる動物(集合名詞と呼ばれている)や

物、その単位になるような数が単複同型に吸収されています。

これは例を見ていただければ分かります。

単複同型の一覧、覚えてしまおう。

単複同型の名詞は数が限られています。

しかも群れを意識させるので覚えやすいです。

特に動物や魚、国籍、初めから複数概念のもの、勢力が元になっているもの、単位等です。

それでは一覧をどうぞ。

単複同型の動物や魚

sheep羊、deer鹿、swine豚、moose(elk)ヘラジカ、

fish魚、salmonサケ、carp鯉、shrimpエビ、

codタラ、tunaマグロ、troutマス、

cattle牛、buffaloバッファロー(水牛)

buffaloは複数形も辞書に載っていますが、

多くのアメリカ人は単複同型だと言います。

試しに“hundred buffalo”で検索すると31900件ヒットし、

トップページ最上位にスミソニアン博物館が運営するホームページが出てきます。

その中にはこんな表現があります。

The buffalo were the life of the Kiowa.
バッファローはカイオワ族と共にあった。

be動詞は複数形ですが、buffaloに-sはありません。

単複同型として扱われています。

トップページの最下位にあるWWF(世界自然保護基金)のぺージ内でも

buffalo are a priority for the tourism industry.
バッファローは観光産業の優先事項である。

と単複同型で扱っています。

一方で“hundred buffalos” は0件

(トップページでは誤って表示されます。次のページに進めると検索結果に引っかからないのが確認できます。)

“hundred buffaloes”は6220件ヒットしますが、

トップページの最上位は中国人の画家(つまりネイティブではない)が描いた作品のタイトルだと分かります。

それから、同じトップページには南アフリカのサビサンド動物保護区のホームページ内で、複数形が見られます。しかし、これもネイティブが書いたのか不明です。

そして他のページも出自不明なページが多いです。

よってバッファローは単複同型として覚えておいた方が良いと思います。

単複同型の国籍など

Japanese日本人、Taiwanese台湾人、Vietnameseベトナム人、

Chinese中国人、Portugueseポルトガル人、

Siouxスー族(インディアンの部族)、offspring子孫

語尾が-seの国籍は単複同型です。

1人でも100人でもJapaneseですよね。

「じゃぱにーじーず」って言いにくいですよね。

アメリカ人などは一人ならan American

100人ならa hundred Americansになり

複数形は変化します。

子孫は「子」と「孫」なので複数の概念ですよね。

その他の単複同型

headquarters司令官の住居、本社、barracks兵舎、

crossroads交差点、species種、series連続、means手段、

aircraft航空機、hovercraftホバークラフト

ほとんど初めから複数の概念です。

quartersの成り立ちとしては

「軍の居住地」なので多くの建物があり、

その内の司令官の居所と言う意味です。

barracksも多くの建物が立ち並んでいるのを連想させます。

「交差点」は2本の線が交わっていますし、

「種」とは、祖先と子孫のような脈々とした複数の概念で、

「連続」も複数のつながりです。

craftは「船舶」の意味ですが、語源は「力」で

中英語期でも「勢力、権力」を表したようです。

もし「船舶」が「勢力」の象徴であるなら、

それを見せつけると言う意味で、「複数の船舶」の概念なのでしょう。

これは「航空機」にも当てはめることが出来ます。

「ホバークラフト」はそのまま単複同型だけを踏襲しているのだと思います。

means「手段」は初めから複数の概念と言う部分が分かりにくいです。

これだけは理屈なしで覚える必要がありますが、

初めから-sはついているので間違えることはないでしょう。

hundred100、thousand1000、million100万、

mile距離の単位(1.6km)、pound重さの単位(453.6g)、

stone重さの単位(6.35kg)

上記も全て複数の概念だと分かりますよね。

まとめ

いかがでしたか?

単複同型になった歴史上の理由を紐解きました。

音韻上の理由が先行し、音が消える現象が起こります。

その後、「食用のもの」にはつけたくないという意識が働き

おそらく「群れ」で扱うような名詞が吸収されました。

誤解しないで欲しいのは

単複同型は複数形を持たない名詞

と言う意味ではありません。

辞書には複数形が存在するものもあります。

でも、複数形にすると意味が変わります。

あくまでも、魚1匹(1fish)でも100匹(100fish)でも複数形は変化しない 

という事で、「魚の種類」という意味で「fishes」の形はあります。

つまり、1,2,3と数えるときに単数形と同じ形を取る

と言うのが単複同型の意味です。

なので、「数千もの」と言う表現では

thousands ofと言ったもりします。

さらに、不可算名詞だからではなく

可算名詞なのに単複同型なのです。

いろいろと誤解のないように今一度整理をしておくようにしてください。

音韻上の歴史に関しては以下のページを主な参考にしています。

参照:

https://forum.wordreference.com/threads/is-fish-countable.1557705/

https://english.stackexchange.com/questions/50309/why-is-sheep-the-same-when-talking-about-one-or-more-than-one

https://beyond.britannica.com/why-sheep-and-not-sheeps

https://www.ahdictionary.com/word/search.html?q=plural

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