形容詞の位置や用法には規則があります!

形容詞の位置と順番アイキャッチ画像

形容詞なのに名詞の後ろに置かれている、それだけで混乱しますよね? 実は形容詞には3つの使い方があり位置が異なります。その用法によって呼び名がありますが、それは機能の仕方が異なることを意味します。今回は、3つの用法、位置に特化した違いと、形容詞が並んだ時の順番の覚え方も解説します。機能の仕方や考え方が分かれば、今後は混乱を避けることが出来ます。

形容詞には機能上3つの呼び名があります。

属性形容詞(attributive adjectives)

述語形容詞(predicative adjectives)

後置形容詞(postpositive adjectives)

この順に詳しく解説します。

属性形容詞(形容詞の限定用法)

属性形容詞とは「どの○○」のように属性を限定する使い方ができる形容詞のことをいいます。

「青い○○」「綺麗な○○」「大きな○○」など属性を限定する言い方です。

多くの形容詞が「どの○○」と言えるので

ここでは「どの○○」しか使うことができない形容詞を紹介します。

限定用法のみ形容詞の一覧と例文

一覧

  • elder 年上の
  • former 前の
  • little 小さな
  • main 主な
  • chief 主な
  • principal 主要な
  • mere たったの
  • only たったの
  • outdoor 屋外の
  • outer 外部の
  • indoor 屋内の
  • inner 内部の
  • particular 特定の
  • sole 唯一の
  • upper 上部の

例文

Your elder sister
あなたのお姉さん。
(○○ is elderとは言いません。)

My former wife.
僕の元妻。
(○○was formerとは言いません。)

He has a little dog.
彼は子犬を飼っている。
(○○ is little.とは言いません。)

My main problem is money.
重要なのは金の問題だ。
(○○ is main.とは言いません。)

The sole equality on earth is death.
地上で唯一の平等は死である。

(○○ is soleとは言いません。)

このように、限定用法でしか使えない形容詞は、名詞の後ろには置くことが出来ません。

名詞の後ろに置けないという事は「○○は綺麗だ」のように述語になれないという事です。

述語形容詞(形容詞の叙述用法)

名詞の後に来る形容詞は、連結動詞の後に続くSVCのC補語になる形容詞の事で、述語形容詞と呼ばれます。

「○○はどんなだ」の形が作れる形容詞です。

多くの形容詞は「○○は青い」「○○は綺麗だ」「○○は大きい」のような使い方が可能なので、ここでは述語形容詞の使い方(つまり叙述用法)しかできない形容詞を紹介します。

名詞の前に置けないという事は、限定用法がないという事です。

叙述用法のみ形容詞の一覧と例文

多くの場合、頭文字Aで始まりますがA以外でもあります。

結構皆さんにも、なじみ深い形容詞もありますよ。

一覧

頭文字a

  • ablaze 燃えて(いる)
  • adrift 漂流して(いる )
  • afloat 浮かんで(いる )
  • afraid 怖がって(いる)
  • aghast 愕然として(いる)
  • alert 警戒して(いる )
  • alike 似て(いる )
  • alive 生きて(いる )
  • alone 孤立して(いる)
  • aloof 平然として(いる)
  • ashamed 恥じて(いる )
  • asleep 眠って(いる )
  • awake 起きて(いる)
  • averse 嫌がって(いる)
  • aware 気づいて(いる)

頭文字a以外

  • fine 元気で(ある)
  • well 健康で(ある)
  • ill 病気で(いる)
  • unwell 気分がすぐれない
  • ready 準備が出来て(いる)
  • sorry 遺憾で(ある)
  • upset 気が動転して(いる)

例文

His child is afraid of scarecrows.
彼の子はかかしを怖がっている。
(「怖がる子供afraid child」とは言えません)

His house was ablaze when he reached there.
彼がそこに着いた時、彼の家は燃えていた。 
(「燃えている家ablaze house」とは言えません。)

The man was adrift on his boat after the storm.
男は嵐の後、船で漂流した。
(「漂流した男adrift man」とは言いません。)

They managed to keep their boat afloat through the storm.
彼らは嵐の中でも、どうにか船を浮かせていた。
(「浮いている船afloat boat」とは言いません。)

The two clowns look alike.   
その二人のピエロは似ている。
(「似ているピエロalike clowns」とは言いません。)

The baby is asleep but seems awake.
赤ん坊は眠っているが起きているようだ。
(「眠っている又は起きている赤ん坊asleep/awake bay」とは言いません。) 

I am fine.
私はとても元気です。
(「元気な私fine I」とは言いません。)

前に置くと意味が変わります。

a fine man 立派な人

fine weather 快晴

I am ready to go.
私たちは行く準備ができています。
(「準備している私ready I」とは言いません。)

前に置くと意味が変わります。

a ready worker 即戦力

The doctor is seriously ill in the hospital.
その医者は病院で重症です。
(「病気の医者ill doctor」とは言いません。)

前に置くと意味が変わります。

ill news 凶報

ill success 不成功

一覧の意味を見ていただくと、属性っぽい意味ではない

という事がなんとなくわかると思います。

例えば「燃える○○」なら属性ですが、

「燃えている○○」は「今、その状態」に過ぎず

属性とは言えません。

後置形容詞(形容詞の後置修飾)

名詞や代名詞のすぐ後に来る形容詞を後置形容詞と言います。

前からではなく後ろから名詞を修飾します。

後置修飾の例その1

以下の後置修飾は2語で一つの名詞のカタマリになります。

2語で1つですが、前が名詞、後ろが形容詞の順です。

God almighty 全能の神

devil incarnate 悪の化身

Liberty incarnate 自由の権化

heir apparent 王位継承者

princess royal 第一王女

knights templar テンプル騎士団

poet laureate 桂冠詩人、月桂冠を与えられた詩人

body politic 国家

governor general 総督

court martial 軍法会議

attorney general 司法長官

postmaster general 郵政公社総裁

the director designate 重役内定者

the president elect 大統領当選者

notary public 公証人

accounts payable 支払い(買掛)勘定

accounts receivable 売掛金債権

time immemorial 大昔、太古

times past

life everlasting 転生、永遠の命

a bride elect 許嫁

whiskey sour ウィスキーサワー

code red 厳戒警報

code blue 緊急事態

Bargains galore お買い得品目白押し

小難しい表現が多いのは、

一般的に英語の直近の先祖であるゲルマン語系ではなく、

中英語で流入した遠縁のフランス語系の構文(上流階級の使用言語)

の流れを汲んでいるからです。

皆さんが使うことはあまりないかもしれません。

後置修飾の例その2

以下は、よく使うものになります。

多くの場合、「-able/-ible」で終わる形容詞は、名詞の直後に置きます。

It’s the only time available.
その時間しか手が空いていない。

It’s the only option imaginable.
その選択肢しか考えられない。

形容詞を名詞の直後に持ってくる場合「一時的」で名詞の前に置くと「永続的」という説明がされますが、そんなことはないです。

以下は、同じサイト内で扱われてる表現です。

What is the biggest star you can see without a telescope?
望遠鏡がなくても見える一番大きな星は何ですか?

The most distant individual star visible to the unaided eye is a little over 4000 light years away, in the constellation Cassiopeia–and though it appears to us as a fairly faint star, it is in reality a supergiant star over 100,000 times more luminous than our Sun.
肉眼で見える最も遠い恒星は、カシオペア座の4000光年以上も彼方にあるので、私たちには暗い星のように見えますが、実は太陽の10万倍以上の明るさを持つ超巨星だからです。

What is the farthest visible star?
最も遠くに見える星は何ですか?

The farthest star we can see with our naked eye is…
肉眼で見える最も遠い星は…

https://answerstoall.com/users-questions/what-is-the-biggest-star-you-can-see-without-a-telescope/

文章①はstar you can seeの言い換えでstar visibleを使って回答しています。(ちゃんとした回答になっていませんが)

文章②はvisible starの言い換えでstar we can seeを使っています。

ここで使われているweとyouはどちらも「不特定多数の人」を意味するので同じ意味です。関係代名詞が省略されていることが分かる方も多いでしょう。(関係代名詞は別に解説します)

大事なのはどちらかが「一時的」でどちらかが「永続的」と言う差はないという事です。

さらに、room availableとavailable roomは同じ意味なので、ホテルで使えます。

ただ、ネイティブにとっては「後置修飾の方が自然に聞こえる」と差があるに過ぎません。

https://www.quora.com/Is-there-any-room-Available-or-is-there-any-available-room

https://ja.glosbe.com/en/ja/available%20room

https://hinative.com/ja/questions/14329423

https://ell.stackexchange.com/questions/121063/why-is-it-incorrect-to-say-i-have-an-available-room

じゃあこの差は何かというと、1つの単語に文章が盛り込まれた意味になっているので、後ろに置いた方が自然に聞こえるのではないかと僕は考えています。

例えば、

room availableroom you (we, I )can use

time availabletime you (we, I) can spend

option imaginableoption you (we, I)can imagine

star availablestar you (we, I)can see

こんな感じで言い換えが出来るわけで、

2語以上で名詞を説明する場合には名詞の後ろに置く必要があって、

「あなたが利用できる部屋」をyou can use roomのように前から修飾は出来ません。

さらに「~できる-able」と言う形容詞には別の主体である、別の名詞が含まれる概念なので、前から修飾するときに違和感を覚えている可能性があります。

まあ、意味は同じだけど、後ろに置く方がナチュラルに聞こえるよという事は覚えておくと良いですが、このタイプの形容詞で、前に置くか後ろに置くかで文の意味を変えてしまうものがあるので、その点だけご注意ください。

例えば、次のようなものです。

She’s looking for a responsible man.
彼女は責任感のある人を探しています。

She’s looking for the man responsible.
彼女は誰がやったのかその責任者を探しています。

文章③のresponsibleはポジティブな意味です。

しかし④のresponsibleはミスや犯罪などに対して責任がある人という、ネガティブな意味になります。

前に置くと属性、後ろに置くと属性とは言い難い意味になるというのは、重要なポイントです。

後置修飾の例その3

また、不定代名詞(誰でも、全て、誰か、何かなど)とセットの場合には後置形容詞としてしか使えません。

something useful 何か役に立つもの

everyone present 出席している人は誰でも

someone rich お金持ちのだれか

everything valuable 価値のあるもの全て

somebody perfect for the job だれかこの仕事にピッタリの人

anybody tall だれか背の高い人

anyone talented だれか才能のある人

はっきりと属性というより、誰か、何か、その属性に該当している人やモノを探すイメージですね。

後置修飾の例その4

年齢、高さ、長さ、深さは数字の後に形容詞を置きます。

数字+単位+形容詞の順です。

He’s only one year old.
彼はまだ1歳です。

She’s five feet tall.
彼女の身長は5フィート(約152cm)です。

This river is five miles long.
この川の長さは5マイル(約8km)です。

This lake is one kilometer deep.
湖の深さは1kmです。

重さは例外です。

She is 120 pounds heavy

「重い」と言う形容詞を使って表現しません。

She is 120 pounds.
彼女は120ポンド(54.5kg)です。

She weighs 120 pounds.
彼女の体重は120ポンドです。

この差は疑問文にも表れます。

How old~? How tall~? How long~? How deep~?

How many pounds~?

形容詞の次に来る形容詞の順番

最後に形容詞と形容詞を並べるときの順番と覚え方についても記載します。

日本語では「赤い綺麗な花」でも「綺麗な赤い花」でも気にしませんが、

英語ネイティブはそうではないようです。

形容詞の次に形容詞を置くときに順番が決まっています。

1,限定詞

まずは限定詞を置きます。

限定詞には冠詞、数詞、所有形容詞、指示形容詞があります。

詳しい用語の解説は別の解説で確認してください。

冠詞や数詞(1つの、その)、

所有形容詞(僕の、あなたの)、

指示形容詞(あの、この)

(a, an, the, one, two),

(my, his, her, its, your, our, their),

(this, that, these, those)

2,観察や観測の結果または意見

次に見た目の様子や感想です。

きれいな、高価な、豪華な、破損している、おいしい、醜い

beautiful, expensive, gorgeous, broken, delicious, ugly

3,サイズ (大きさ)

大きいか小さいかだけではなく具体的な大きさも含みます。

大きい、小さい、高さ120センチなど

Huge, tiny, 4-foot-tall

4,形

四角い、丸い、長方形の

Square, circular, oblong

5,年齢

新しいとか古いとか具体的な年数も含みます。

10歳、新品の、アンティークで

10-year-old, new, antique

6,色

色って結構伝えることが多いと思いますが6番目の情報です。

黒い、赤い、青緑の

black, red, blue-green

7,起源

ローマ人の、イギリス人の、モンゴル人の

Roman, English, Mongolian

8,材質

何から作られているかは8番目です。

シルクの、銀で出来た、合成樹脂の、木製の

silk, silver, plastic, wooden

9,修飾語 (目的)

形容詞として機能する名詞または動詞を置きます。

Coffee table コーヒーテーブル

Pool hall ビリヤード場

Hunting cabin 狩猟小屋

Baseball player 野球選手

形容詞の順番覚え方

形容詞に順番をつける時のポイントをいくつか書きます。

  1. 4つ以上形容詞を置くことはまずない。つまり、形容するのはせいぜい3つまで。
  2. その3つの中で順番を考える。
  3. 客観的なものを先に言って事実を後に述べる。
  4. 事実を後に述べる=名詞とのつながりが強い。

では、解説しましょう。

例えばモノで考えて見ます。

モノには作られた目的と言うものがあります。

ビジネススーツ=ビジネス用のスーツ

ロッキングチェア(揺り椅子)=揺らしてリラックスする椅子

など、何の為にそれが存在するのか、

作られた目的と言うものは、モノにとっては最も結びつきが強いです。

そこには作り手の思いが込められています。

こういう思いがこもったものを名詞の一番近いところに置きます。

日本語でも黒のビジネススーツと言いますが、

ビジネスの黒スーツとは言いませんね。(ビジネス用の黒いスーツは充分に言えますが^^;)

そして「かっこいい」のような客観的な意見は、

スーツとは結び付きが弱いので名詞から遠いところに置きます。

「黒い」のような客観的な事実の方が、名詞と結びつきが強いので、「かっこいい」より名詞に近い位置に置きます。

かっこいい黒のビジネススーツ。

モノによっては目的を達成するために素材を何にするかが重要ですよね。

だから、目的の次に結びつきが強いわけです。

例えば高級感を出すためにピュアウール素材をつかうとか。

かっこいい黒のピュアウール素材のビジネススーツ。

ピュアウールでも産地によって違うかもしれないですよね。

かっこいい黒のイタリア産ピュアウールを使ったビジネススーツ。

こんな感じで、生産者の視点は名詞に近い方に、消費者(話者)の視点は名詞から離れます。

この視点を覚えておけば、3つくらいの形容なら迷うことはないでしょう。

まとめ

如何でしたか?

形容詞には3つの用法があります。

形容詞には呼び名があります。

属性形容詞(attributive adjectives)

述語形容詞(predicative adjectives)

後置形容詞(postpositive adjectives)

呼び名は機能を表します。

「どの○○」のように属性の意味を持つ形容詞は

名詞の前に置くことが出来ます。

これが属性形容詞です。

「○○はどんなだ」のように述語的意味を持つ形容詞は

名詞の後ろで連結動詞を使って述語にすることが出来ます。

これが述語形容詞です。

多くの形容詞は属性にも述語にもなれます。

それぞれ限定用法、叙述用法と言います。

しかし、属性の意味しか持たないものは名詞の前にしか置けませんし、

属性の意味がなければ、述語にしか使えません。

そして、2語以上の意味を含む概念を持った属性っぽい形容詞は

後置修飾の方が自然な響きを持ちます。

だから、同じ単語でも属性の意味なら名詞の前に、

属性の意味から外れれば名詞の後ろに置きます。

これは、responsible man 責任感のある人

man responsible 何かをやらかした責任者

の違いに現れます。

他にも

present time 現在

people present 今ここにいる人(出席者)

このように名詞によって使い分けることもします。

また、形容詞を並べるときは名詞との結びつきの強さを考えます。

消費者目線+生産者目線+名詞

意見+事実+名詞

大まかには以上を中心に考えて形容詞を配置しますが、

絶対ではないとも言われているため、比較が微妙な場合は

気にしなくても良いです。

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