Itの複数形はthey?単数theyの使い方

単数theyアイキャッチ画像

Itの複数形はtheyでしょうか?中学英語では答えはイエスで問題ないです。では、theyの単数形はitでしょうか?実はtheyには不思議な使い方があります。それは単純なイコール関係にはないことを意味します。今回はitとtheyの歴史から、現在までの生物・無生物の垣根や性別の垣根について解説します。theyの単数形がitかという事を念頭に置きながら読み進めていただけると、理解が深まりますよ。theyの意味を知ることで本当の意味で国際的な感覚を身に着けることが出来ます。

Theyの単数は「彼」「彼女」ではない

Itもtheyも人称代名詞と言う名詞の仲間です。

人称と言うと人にしか使わないような感じがしますが、

Itとtheyは人の仲間に含まれます。

だからと言って人に使うかと言うと微妙で

Itは基本的に無生物にしか使わないが

Theyは人にも使うというルールが存在します。

じゃあ、itの複数形はtheyではないのではないか?

という疑問が生じますが、英語の歴史も参考にしつつ

皆さんにもジャッジしていただきたいと思う次第です。

ご存じのように日本語にすると「それ」と「それら」の

違いなので、単に複数形なのではないかと思えます。

では表を見て下さい。

itの複数形はtheyか?歴史で紐解く図
(表1)三人称の代名詞と指示代名詞
(表2)3人称の代名詞と自然性

表1の人称代名詞をクローズアップしたものが表2です。

表2の人称代名詞(赤の囲い)を見て下さい。

人称代名詞の男性・女性・中性と言うのは

マイケルと言う名の男性が話題に挙がれば、2回目以降は主語ならheを使うということです。

(この時マイケルを先行詞、heを代名詞と言います。)

そしてキャシーと言う女性が話題なら、2回目以降は主語にsheを使うという事です。

(この時キャシーを先行詞、sheを代名詞と言います。)

さらにテーブルのような無生物の話ならitを使う、そういう自然な性別を代名詞で受け継ぐという事です。

(この時テーブルを先行詞、itを代名詞と言います。)

もともと古英語では単数名詞はhで始まるという共通項があります。

さらに3人称の複数形でも、面白いことにhが共通しています。

で、複数形theyの訳は「彼ら」「彼女ら」「それら」ですよね。

ただですね、

「複数形」と言うくくりがあるだけで、

そもそも性別がない、ニュートラル(中性)なんです。

中学英語で「彼ら」「彼女ら」と習いますけど、

「彼ら」からは男性を主体としたグループ

「彼女ら」には女性を主体にしたグループ

と言った性別が感じられますよね。

もし、あなたが性別を感じて、訳し分けているのであれば、

「彼ら」「彼女ら」と言う日本語は正しくないという事です。

「あの(この)子たち」とか「あの(この)人たち」

と言った日本語訳じゃなければダメという事です。

theyの中性とはそういう意味です。

つまり、theyはheやsheの複数形ではありますが、

「彼」の複数形や「彼女」の複数形ではないのです。

Itの複数形はtheyだけど「中性」の意味が違う

一方で、itは無生物にしか使わないというルールがあります。

先行詞が男性ならhe、女性ならshe、無生物ならitで受け継ぎます。

では、人以外の生き物はどうでしょうか?

無生物ではないですが、男性、女性と言うわけでもない。

実は、その生き物にどれだけ愛着を持っているかで受け方が異なります。

例えば動物が好きで犬を飼っている人なら、

家族同然なので「he」や「she」を使います。

動物が嫌いな人は「it」を使います。

だから日本語の感覚に近いですよね。

犬好きなら「うちの子は5歳です」とか

「その子はなんていう犬種ですか?」とか。

それがheやsheの感覚です。

犬嫌いなら単に「あの犬」「この犬」とか

ちょっと距離を置く言い方になりますよね。

それがオスもメスも親しみも関係ないitの感覚です。

複数形ならどんな場合もtheyしかありません。

中性なので、heやsheの感覚がなくなります。

そして性別と距離を置いたitの複数形と言うでもなく単にニュートラルなtheyになるわけです。

中性だから好まれる三人称単数They

ここまでで、theyと言うのはitの中性とは

別の意味を持つ中性であることが分かったと思います。

theyの中性と言うのは生物や性別の垣根を越えて中立です。

この「中立さ」から、「3人称単数のthey」と言う使い方が生まれました。

3人称単数とは一人でもtheyを使うという意味であり、

古くは1375年までさかのぼるというから

生まれたとは言っても最近の事でもありません。

つまり、theyの中立さは、14世紀以前からあったことになります。

単数they(singular They)は主に2つのケースで使われます。

1,性別が分からない人。(一般用法)

2,性別を明らかにされたくない人。(特別用法)

要するに、性別をニュートラルに表現したい時に使うという事です。

3人称単数で同じ中性のitをわざわざ避けて

複数形のtheyを使うことから考えても

itの「中性」とtheyの「中性」では

意味が異なるのだと分かります。

この使用法についてはCambridge Dictionaryや複数のスタイルガイドでも

紹介されています。

If someone comes with a parcel for me, can you ask them to take it next door.
誰かが私宛の小包を持ってきたら、それを隣に持ってくるよう伝えてもらえますか。

https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/pronouns-one-you-we-they?q=they

if節の中で、「誰かが」と言う3人称単数現在なので、

comeに-sがついているのが分かります。

それを帰結節では本来は複数形のthemで受け継いでいます。

これが1番目の「3人称単数they」の使い方で、他にも

anyone, everyoneなど「性別が不明」な場合に使います。

Cambridge Dictionaryでは

や性別が不明な場合」と説明されていますが、

「誰か」と言えば通常1人を想定しています。

英語にも-one(1)が付いています。

だから三単現の-sがついているわけで、

性別を意識して言い換えるならhim or herになります。

「彼か彼女」つまり、想定は1人です。

1人なのにthemで受けているという事です。

よって、先行詞がa person(ある人), the victim(被害者), the winner(勝者)など、

いずれも一人の事について言及されていますが、

性別不明でtheyで受け継ぐことが出来ます。

また、性別が分かっていたとしても

GLBT(ゲイ・レズビアン・バイセクシャル・トランスジェンダー)

の問題で「彼」や「彼女」と言われたくない

要求に答えるべく3人称単数theyが使われます。

以下の文はどちらも正しいとされています。

Jules is writing their research paper on Jane Austen’s Persuasion.
Julesはジェーン・オースティン著「説得」に関する研究論文を書いている。

https://style.mla.org/using-singular-they/

Ari read the instructions to themselves [or themself] before beginning the test.
Ariはテストを始める前に説明文を頭に入れた。

https://style.mla.org/using-singular-they/

主語の場合はthey are(they is ではない)ですが、

再帰代名詞はthemselvesでもthemselfでも

良いとされています。

ただし、注意点挙げている人もいます。

①代名詞の代わりにその人の名前を使うか、

②使用する前に、文章を言い換える工夫を検討したうえで

③単数theyが不可欠な場合、その人が性別を問わない

代名詞を希望していることを文中で説明する。

④また複数の人がいることを示唆するような

言い回しにならないようにする。

③の必要性が良く分かりませんが(誤解を与えないため?)、

theyの使用によって「あの人たち」の

意味にならないよう注意する必要があります。

英語の自然性と文法性について

人称代名詞と指示代名詞の性別について解説しておこうと思います。

人称代名詞の性別と言うのは、要するに先行詞の(名前を含めた)

見た目が男性ならheで受け継ぐという感覚があるせいで、

マイケルという男性が性別を隠したい時にsheとも言わないでthey

を使うという流れになっているわけです。

指示代名詞の性と古英語の「文法上の性別」と言う意味ですが、

見た目とは関係なく名詞に性別が与えられていたという事です。

(表3)自然性女性と文法性女性

例えば「女性」を意味する単語にはwifとwifmanの2種類あって、

それぞれに与えられている文法上の性別は、

wifが中性名詞、wifmanは男性名詞でした。

このような文法上与えられた性別によって異なる

(今で言う)冠詞を付けていました。

Þæt wif (the / that woman)

Se wifman(the / that woman)

そして主格と目的格でも異なるthe / thatを

付けるというすごくややこしい文法だったんです。

表の中には女性名詞につけるseoと言うのがあります。

なぜheoがsheになったのかと言うと

見た目の女性代名詞として受けていたheoが13世紀ころ文法性の女性名詞につけるseoに置き換わったのが、現在のsheにsがついている理由だと1説にあります。

まとめ

皆さんはitの複数形はthey?

或いはitはtheyの単数形?

と聞かれたらどんな答えを出しますか?

ネイティブでさえitの複数形はtheyだと答えます。

だから、簡易的に答えるならイエスで問題ないでしょう。

しかし単数形theyはとても繊細な問題を抱えています。

日本人は「きょうだい」と言う単語を聞いただけでも

兄弟?兄妹?姉弟?姉妹?なんていう性別のこだわりがありますよね。

その「きょうだい」が「性別を隠したいかどうか」と言う事には

なかなか配慮が回りません。

性別を隠したい時(あるいは不明の時)に使うのが単数theyです。

その理由は、theyには複数に使うというルールがありながら、

生物や無生物、そして性別の垣根を越えて中立である

と言う概念が根本にあって、

単数なのにheやsheはもちろんitにすら中立の概念が

無いからこそ生まれた使い方だと思います。

本当の意味で国際的な感覚を養うなら

「彼ら」「彼女ら」と言った和訳もいい加減やめて

中立的な和訳にした方がいいと思うのは僕だけでしょうか。

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主な参照:

https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/pronouns-one-you-we-they?q=they

https://style.mla.org/using-singular-they/

https://public.oed.com/blog/a-brief-history-of-singular-they/

https://blog.ap.org/products-and-services/making-a-case-for-a-singular-they

https://forum.wordreference.com/threads/plural-of-it.2557149/

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