固有名詞にtheをつける例と一覧

固有名詞と普通名詞の例と一覧the sunの理由

固有名詞にtheをつける理由を知るには普通名詞との違いを理解する必要があります。前回は固有名詞と普通名詞の違いをお伝えし、国名 なのにtheをつける理由がお分かりいただけたと思います。しかし国名以外にもtheがつく固有名詞がありますので、今回は例を一覧にして理由をお伝えし、さらになぜ固有名詞の「太陽」にthe をつけるのかと言う理由も解説します。一覧を眺めることでさらにあなたの固有名詞と普通名詞の理解が深まります。

固有名詞でtheがつく地理

従来は「特別で偉大なイメージや複数のものが集まったイメージのある地域にtheがつく」と教わりますが、なぜそうなのかと言う理由が説明されてきませんでした。

特別で偉大な物へのtheの付加は唯一無二からくるtheであり、

複数の集合地域へのtheの付加は

もともとまとまりを表す普通名詞だったからです。

例えば「その犬」と言って話をすると、それ以外の犬の話ではない唯一無二の犬の話です。

そして、「5匹の犬」の話をする時には犬全部から「5匹の犬をまとめて取り出す」効果があります。

では普通名詞と言うのはどういう事でしょうか?

これは語源を辿れば分かります。

という事で、語源を中心に解説していきます。

the Atlantic(大西洋)

ラテン語のAtlanticus、ギリシャ語のAtlantikos「アトラスの」から来ていて、モーリタニアのアトラス山脈Atlasにちなんでいます。アフリカの北西側にあります。で、アトラスはギリシャ神話の神の一人なので、「アトラスの海」と言う普通名詞が語源になっています。

アトラスの海the Atlantic Oceanを省略したものです。

the Pacific(太平洋)

マゼランが航海した際に、大西洋と比べて、少なくとも彼が予想していたよりも穏やかであったことから、そう呼ばれるようになりました。Pacificとはpeaceful(穏やかな、平和な)と語源が同じです。つまり、「穏やかな海」と言う普通名詞が語源です。

穏やかな海the Pacific Oceanを省略したものです。

the Suez Canel(スエズ運河)

スエズと言うのはエジプト語ではsuan「始まり」を、転じて「紅海の頭にある港」を意味しています。Canelはフランス語のcanal, chanel「水路、管、パイプ、溝」、ラテン語のcanalis「水管、溝、水路」などを意味します。もっとも、運河ができる以前にはスエズと言う地名(港名?)はあったでしょう。スエズに運河を作る構想自体は古代からあったようです。そう考えると、「スエズの水路」と言う普通名詞が固有名詞になったと考えるのが妥当かと思います。

the River Nile、 the Nile(ナイル川)

ナイルとはセム語で「川」の意味です。旧約聖書では名前がなく、常に「川」(ヘブライ語でyeor)とだけ書かれているそうです。「唯一の川the river」と言う普通名詞がthe Nileと言う固有名詞になって、さらにNileの「川」と言う意味が忘れられて川Riverをつけたという事です。

the Sahara Desert(サハラ砂漠)

サハラとはアラビア語で「砂漠」の意味です。こちらも「the desert」と言う普通名詞が固有名詞the Saharaになり、さらに砂漠desertをつけたという事でしょう。

the Mediterranean Sea(地中海)

medはmiddle中間やmidnight真夜中 のmidと語源が同じです。語源はmedius「真ん中」(インドヨーロッパ祖語medhyo-「真ん中」)+terra「土地、地球」。語源的には「地球の真ん中にある海」という意味であったと推測されています。つまり、普通名詞「地球の真ん中にある海」が固有名詞になったという事です。

the Rocky Mountains(ロッキー山脈)

1400年頃、rock(ロック) + -y から「岩だらけ、不安定な」と言う意味から来ています。北に行くほどロッキー山脈は険しくなるそうです。「険しい山々」と言う普通名詞が固有名詞になったものです。

the Alps(アルプス山脈)

alpsは「雪をかぶった高い山」を意味するalpの複数形です。「高い山々」と言う普通名詞が固有名詞になったものです。

the Andes(アンデス山脈)

ケチュア語(インカ語)のandi「高い頂上」に由来します。「高い頂上」複数形の普通名詞が固有名詞になったものです。

the Himalayas(ヒマラヤ山脈)

サンスクリット語の「hima 雪」+「alayah 居住地 」からhimalayahです。「雪の居住地」複数形の普通名詞が固有名詞になったものです。

ペルシア湾(the Persian Gulf)

Gulfは「深い奥行き」という意味で、古フランス語のgolf「湾、渦」、イタリア語のgolfo「湾、入り江」などから来ています。「ペルシア人が所有する入り江」のような意味の普通名詞が固有名詞になったものです。

the Arabian Peninsula(アラビア半島)

ラテン語のpaeninsula「半島」で、pæne「ほぼ、ほとんど、実質的に」+ insula「島」と言う意味です。「アラビア人の半島」と言った意味の普通名詞が固有名詞になったものです。

the Japan Islands(日本列島)

英語では「日本の島々」と言う普通名詞の感覚からからくる固有名詞です。

大きい物は境界線が分からないので「まとめて呼ぶ」と言う意識が働きやすくなります

上記の複数形の概念などはまさにそうですね。

一方で小さい地理にはtheが付きません。

小さい方が自分たちの視覚の範囲で境界線を認識しやすいですよね。

Mount. Fuji(富士山)、Lake Biwa(琵琶湖)、Tokyo Bay(東京湾)、Awaji island(淡路島)

山や湖、湾、島は複数あることが確認できる(逆に言えば、唯一のものではないという認識から)ので、それと区別するための本来の固有名詞のつけ方になったと考えられます。

固有名詞でtheがつく組織の例と一覧

ホテルやレストラン、銀行、映画館、劇場、博物館、新聞、組織など通常theを伴うと言われています。

確かにその傾向は強いと思います。

これは、「組織として有名感を出すため」ですが、

そもそもホテルもレストランもすべて異なる義務を負った組織なので、

すべて組織名(つまり、まとまりである)と覚えた方が分かりやすいと思います。

そのうえで「有名感を出す」とは日本語の「は」と「が」の違いに似ていると思ってください。

例えば

「こちらはホワイトハウスです」

「こちらがホワイトハウスです」

この2文を比較すると

「こちらが」の方がたとえあなたが知らないとしても

「有名なところだったのか」って思いますよね。

the をつけるというのはまさに「が」に似た含みがあり、

相手を注目させる役割があります。

では例文を見て下さい。

the Ritz Hotel(リッツホテル)、 the Peking Restaurant(北京レストラン)

the National Westminster Bank(ナショナル・ウエストミンスター銀行)

the Royal Theatre(ロイヤル・シアター)、the ABC Cinema ABC(シネマ)

the British Museum(大英博物館)、the National Gallery(ナショナル・ギャラリー)

the White House(ホワイトハウス)、 the Crystal Palace(クリスタルパレス)

the Daily Telegraph(デイリー・テレグラフ)、the Sunday Post(サンデー・ポスト)

the United Nations(国際連合)、the BBC(BBC)、the European(欧州連合)

しかし、組織名であっても、「創業者の名前を引き継ぐ意思が強いもの」にはtheをつけません。さらに、教会や大聖堂も聖人の名前が付けられているのでtheをつけません。

Harrods(ハロッズ)、Marks & Spencer(マークス&スペンサー)、Macy’s(メイシーズ)、

Barclays Bank(バークレイズ銀行)、Steve’s Hotel(スティーヴズ・ホテル)、Joe’s Café(ジョーズ・カフェ)、McDonald’s(マクドナルド)、St John’s Church(セントジョンズ教会)St Peter’s Cathedral(セントピーターズ大聖堂)など。

創業者の名前を残す意思の働きと言うのは、

創業者の功績を残したいわけで、

「あのHarrodが作った」と言った含みがすでにあるので

the(その、あの)をつける必要性があまりないわけです。

また偉大な物にはtheをつけるとよく言われます。

中でも、the Louvre(ルーブル美術館)、the Mona Lisa(モナ・リザ)、the Eiffel Tower(エッフェルタワー)はtheをつける例として挙げられます。

しかし、ルーブル美術館は美術館を運営する組織であり、人の名前でもないため通常の「theがつく組織」の例に入ります。(同時に唯一感や有名感と言う含みもあるでしょう)

モナ・リザは「マダム・リサ」の意味です。theをつけないと「マダム・リサ本人」の事になってしまうので、唯一の作品と言う意味で「the マダム・リサ」です。

そして、エッフェル塔は組織名ではなく建物に設計士エッフェルの名前を付けたことに由頼します。つまり「エッフェル設計の塔」と言う普通名詞の固有名詞化です。

なので、偉大だからと言うのは見た目であって本質ではありません。

太陽、月、地球は固有名詞ではない

では最後にthe sun(太陽)についたtheについて述べます。

Theがつく理由についてはいろんな角度から説明がされています。

でも、しっくりこないんですね。

ネイティブの説明を聞いていると、とても信じがたいことを言うわけですが、

でもその信じがたい事実こそ、後にアハ体験をするきっかけになりました。

その事実というのが、

sun(日本人が太陽と呼んでいる物体)が固有名詞ではない

と言うネイティブの感覚です。

我々日本人の感覚からすれば、太陽、月、地球は惑星の一つに過ぎず、

また他の惑星と区別する必要性から、太陽、月、地球と呼びますよね。

でも彼らの感覚はそうじゃないんですよ。

空の事をthe skyと言います。

高度も広さも関係なく、見上げた上空をまとめて「空」the skyと言い、普通名詞です。

「誰が、いつ、どこで想像しても、思い浮かぶ共通の存在」であり、どこかに他の空があるわけではなく、そこにある「唯一の存在」だから固有名詞にする必要がないわけです。

この感覚をぜひ覚えて下さい。

固有名詞は「区別する必要がある同種のもの」につける名前です。

でも空には同種なんてありません。

唯一なので、名前なんて付けません。

誰がいつどこで想像しても同じものです。

これと全く同じ感覚がthe sunなのです。

他に同種の物があると知らない昔から、

月や地球とも見た目が異なる区別不要な存在なのです

そして以下の例は同じ並び、同じ感覚のtheです。

(同時にまとまりのtheを含意しているモノも多くあります)

空(the sky)海(the sea/the ocean)世界(the world)

太陽(the sun)月(the moon)地球(the earth/the globe)

宇宙(the universe/the cosmos)空中(the air)大気(the atmosphere)

北極(the north pole)南極(the south pole)赤道(the equator)

地平線/水平線(the horizon)自然環境(the environment)

北部(the north)南部(the south)東部(the east)西部(the west)

右/右側(the right)左/左側(the left)

このように区別不要な唯一のモノは固有名詞にはなりません。

因みに、太陽と月には信仰の対象として、神の名前が付けられています。

SoleとLunaです。

太陽の固有名詞は「ソル」、月の固有名詞は「ルナ」です。

太陽光発電のことを「ソーラーシステム」なんて言いますよね。

でも「ソーラーシステムSoler system」とは「太陽系」と言う意味です。

誤用されていますが、「ソーラー」はSoleと言う太陽につけられた固有名詞から来ているんです。

まとめ

いかがでしたか?

例を挙げると、きりがないのですが、

theをつける固有名詞は普通名詞から来ています。

そして、theには唯一無二のという意味が含まれます。

その唯一無二感が偉大さを連想させるのかもしれません。

特に、唯一無二の普通名詞である、太陽、月、地球、空、海、世界は区別される必要がなかったので、固有名詞にはなりませんでした。

自分の右側の空間に名前を付けないじゃないですか?

右と言ったらどこまでも果てしなく唯一の右です。

その果てしない空間ををまとめてthe rightって言うんです。

それと同じ感覚です。

もっとも、太陽と月は、その他の惑星と同様に神の名前が付けられています。

同種のものがあれば固有名詞が付けられる。

同種のものがなければ固有名はつける必要がない。

この感覚をぜひ覚えておいてくださいね。

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