過去形と過去分詞の違いは?過去形と完了形は何が違うの?そんな疑問を抱えていませんか?その疑問は用語が整理整頓されていないせいで生じる疑問ですが、でもそれはあなたが悪いのではなく英文法が分かりにくいせいです。今回は過去分詞や完了形との違いも整理しながら過去形とはなんぞやと言う核心について例文解説します。この記事を読めば過去の話が得意になるでしょう。
過去形と過去分詞は動詞の活用
皆さんは昔、5段階活用とか習いませんでしたか?
例えば、日本語「歩く」と言う動詞を5段階活用させると
未然形:歩かない
連用形:歩きます
終止形:歩く
連体形:歩く時
仮定形:歩けば
命令形:歩け
こんな感じで「か行」を活用させます。
これを動詞の活用と言って会話内容の場面によって
動詞が変化することを言いますよね。
過去形や過去分詞とは動詞の活用の事です。
まず英語の動詞にも日本語「歩く」
に相当する基本形があります。
これを動詞の原形と言います。
会話内容の場面によって原形を活用させて使用します。
英語の活用法は現在形、現在分詞(形)、過去形、過去分詞(形)
以上、原形を含めて5つの活用があります。
日本語とは会話内容の想定が異なるので
動詞の活用方法が異なっています。
英語の場合は活用とも言いますが「屈折」とも言います。
原形―現在形―過去形―過去分詞―現在分詞の順に
walk-walk(s)-walked-walked-walking
このように語尾が屈折するパターンもあれば
go-go(es)-went-gone-going
このように全く予想もできない屈折をする動詞もあります。
過去形と過去分詞の違いは時制と派生
動詞の活用形を見ると分かりますが、
過去分詞と現在分詞には「形」
の文字が入っていません。
又、動詞の活用に完了形と言う「形」もありません。
ややこしいですよね。
ちゃんと整理しますからご安心ください。
現在分詞と過去分詞は動詞の活用形としてそれぞれ
現在分詞形、過去分詞形と呼んで構いません。
分詞の語源は古フランス語で
「動詞から作られる形容詞の価値を持った単語」
簡単に言えば「動詞の形容詞化」と言う意味です。
なぜ、現在分詞と過去分詞と呼ぶのか
はっきりとしたことは分からないのですが、恐らく
現在動詞の形容詞化形
過去動詞の形容詞化形
つまり、
現在形の変化形で形容詞の意味を含んだ活用
過去形の変化形で形容詞の意味を含んだ活用
と言った意味ではないかと思います。
この活用によって時制の表示機能を失います。
過去分詞形とは意味が形容詞になって
時制表示機能を失った動詞の活用です。
過去形を元にして屈折したものと
考えられます。
完了形は活用ではなく助動詞とセットの形
そしてbe動詞と現在分詞形を使って現在進行形、過去進行形が、
be動詞と過去分詞形を使って現在受け身形と過去受け身形が、
haveと過去分詞形を使って現在完了形と過去完了形が、
それぞれ作られます。
助動詞be + going =現在進行形と過去進行形
助動詞be + gone = 現在受け身形と過去受け身形
助動詞have + gone = 現在完了形と過去完了形
このように助動詞と活用した動詞のセットでも「形」と言います。
動詞が形容詞化したことで現在の話か過去の話か分からなくなるので、時制を助ける動詞として助動詞は機能しています。
このセットを適した文脈で納品して使うわけです。
このセットをさらに組み合わせて「現在完了進行形」
などセットにした文章が作られます。
過去形とは動詞の活用単品の事で
完了形とはこの「完了」と言う文字がセット内容に含まれる
文章の総称と言うことになります。
過去形を使って過去のある時点に起きたことを話す
現在時制と現在形が同じではないように
過去時制と過去形はイコール関係ではありません。
過去時制の中に単純な過去表現があり、
過去形を使って会話するのが過去形の文章です。
過去時制には過去進行形を使った文章や
過去完了形を使った文章もあります。
もう少し詳しく説明しますね。
過去形と現在完了形の違い
必ず皆さんの前に立ちはだかるのが
過去形と現在完了形はどう違うか?と言う壁です。
疑問の解決に向けてポイントを2つお伝えしようと思います。
ポイント1は日本語の語尾
ポイント2は時間の副詞です。
「行く」という動詞で考えて見ましょう。
「~へ行く。」原形
「~へ行きます。」現在形
「~へ行った。」過去形
現在形の文章は定常状態を表していて、
「普段~へ行きます。」
のように「普段」のような定常状態を表す
副詞が必要です。
過去形の文章は過去のある時点の出来事を表し、
「昨日~へ行った。」
のように「昨日」のような過去の一点を表す
副詞が絶対に必要です。
一方で現在完了形の文章はこうなります。
「~へ行った ことがある。」
「~へ行って しまった。」
このように「行った」と「。(まる)」の間に言葉が追加されて
過去の出来事を現在に引っ張ってくる用法です。
それに伴って使う副詞が変わります。
「以前~へ行ったことがある。」
「もう~へ行ってしまった。」
どちらも過去の出来事でありながら、
現在を含む概念なのが分かりますか?
「昨日」は「現在」と切り離された概念です。
「以前」は「したことがある」とセットで現在に引っ張られ、
「もう」や「まだ」はそれだけで過去と現在がつながります。
このように使う時間表現の副詞と日本語の語尾に
違いがあることが分かれば、後は例文を見るだけです。
過去形の例文と解説
I arrived in Nagoya yesterday.
昨日名古屋に着きました。
She finished her work at seven o’clock last night.
彼女は(昨夜は)7時に仕事を終えました。
まるでスケジュールをこなした感想を
記しているような、現在とは切り離された
文章が過去時制の単純表現です。
そして、昨日、昨夜、何時に、先週、先月など
今とは切り離されたマーカーを使うのが特徴です。
しかし、実際の会話で、昨日の話をしていることが
お互い分かっていれば、いちいちマーカーを使いません。
あくまでも相手がいつの事か分からない時に使うのです。
We went to the movie.
僕らは映画を観に行きました。
It was a good film.
良い映画でした。
こちらの文章は名古屋で過ごした昨夜の話の続きを想定しているので、いちいち「昨夜」とは言いません。皆さんも昨日の話だと分かっている時に「昨日、昨日」と言いませんよね。
まるでタイムラインに印を付けていくように
「いつ何をしたか」を言うのが過去の単純表現ですが、
他にも過去の定常状態を表すことが出来ます。
People lived in caves a long time ago.
人は大昔洞窟に住んでいた。
When she was a child, she played the piano.
彼女は子供の頃、ピアノを弾いていた。
「頻度の副詞」を意味的に含む表現です。
「大昔」とか「子供の頃」などある程度の幅を持った
過去の時間の定常状態(変化しないこと)を言っています。
「彼女が子供だった頃」というのも
過去の時間を表す副詞表現で、
さらに「彼女が子供だった」と言う表現も
過去形で表します。
最後はこんな表現です。
When I came home, my wife made dinner.
私が帰った時、妻が夕飯を作った??
ちょっと状況がつかめないですよね。
「ピアノを弾いていた」と言う文章は定常状態を
表していましたが、今度は違います。
意味は「私が帰宅してから妻が夕食を作り始めた」
と言う過去の前後関係を表しています。
ほとんど知る人がいませんが、
2つの過去形の文章をwhenでつなぐ際に、
「過去1した時、過去2をした」と言う順番
にすることで前後関係を表せます。
(過去完了でも詳しく解説します。)
まとめ
如何でしたか?
過去形も過去分詞も動詞の活用形です。
haveと過去分詞をセットで使う文章の総称が完了形です。
どんな文章にも言えますが、どんな時間の副詞を使うか
そして、動詞の和訳の語尾がどう変化するのか
セットで考えるのが時制を制するコツです。
過去形を使う文章では
Yesterday, last night, last week, last month, last year,
in 1999, last summer, last Monday
など、現在の時間に触れない過去のマーカーを使います。
一言の中にマーカーが入っていなくても
会話中どこかの段階で必ず出て来ます。
マーカーを示さずに「映画を観たんだ」と言われても
「この人はいつの話をしてるんだろう?」と思いますよね?
時制が分かりにくいのは「時間の副詞」
すなわちマーカーを使わない例文が多いからです。
必ず時間の副詞を意識すると違いが分かるようになります。
因みに「昨日」と言うマーカーは現在とつながっていませんが、
「昨日から」と言いたい場合だと現在とつながるので現在完了形を使います。
I lost my keys yesterday.
昨日カギを無くした。(過去形)
I have lost my keys since yesterday.
昨日からカギを無くしたままである。(現在完了形)
マーカーの使い方に違いがありますよね。
前者は現在とは切り離され、カギが出てきた可能性があります。
後者は過去の事実を引っ張っているのでその可能性はゼロです。
過去形は過去時制で、現在完了形は現在時制です。
時制に関する記事のいろんな場所で言っていますが、
初めて読む方もいるのでここにも書きます。
時制は現在と過去の2つしかありません。
それぞれの時制に動詞を活用した4つの視点(相)があります。
「歩きます」「歩いています。」「歩いたばかりです。」「歩きっぱなしです」
これはすべて現在の異なる視点です。
それを文法用語に変換したものが以下です。
現在時制
定常相・進行相・完了相・完了進行相
過去にも同様の視点があます。
過去時制
定常相・進行相・完了相・完了進行相
動詞の現在形は定常相を表し、
be + 現在分詞形は進行相を
have + 過去分詞形は完了相を、
have + been+現在分詞形は完了進行相を表します。
今回解説したのは過去の単純表現である
過去時制の定常相です。
過去時制の変化のない視点のことです。
過去形だけが過去時制ではありません。
次回は過去時制の進行相、過去進行形について解説します。
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