時制はたくさんあって難しいと感じていませんか?「相」と言う概念を教える人がいないからです。僕は「形」と言う言葉に散々惑わされ混乱しましたが、「相」の概念が、ある時突然分かるようなって、時制のシンプルさに驚きました。実は時制は2つしかありません。日本の文法は時制を難しく教え過ぎです。今回は時制とは何か、その意味と、「相」と言う概念ついて日本語の例文と、表も使って分かりやすく解説したいと思います。
時制とは動詞活用時の制約
文法上の時制とは、いつそれが行われたかを反映した動詞の時間的な制約を意味します。
英語の文法上の時制は、厳密には現在と過去の2つしかありません。
現在の動きを反映する
過去の動きを反映する
この2つの時の制約だけです。
え、未来の動きは?と思った方、doという動詞を活用させて未来形にして見て下さい。
doの活用はdo、did、done、doingですね。
どれか1つでも未来を反映する活用がありましたか?
ないですよね。
未来形として説明されるwill doやbe going to do、be doingは、現在の動きが反映されている表現です。
「私はそれをするだろう。」
と言えば、現在の自分の気持ちを反映したものです。
単なる現在の推量です。
「私はそれをする予定だ。」
と言えば、現時点で決まっていることを反映しています。
だから、willも現在形(つまり現在時制)ですし、
be going toは現在形(amやis、つまり現在時制)と現在分詞とtoを組み合わせた表現になっています。
繰り返しますが、
時制とは「その動作がいつ起こったのか」と言う動詞の時間的な制約なので、動詞の活用を見れば一目瞭然、未来に行われる動詞の活用なんて存在しません。
敢えて言えば原形があるから未来を表現できる為、そういった意味では原形が未来形です。これは不定詞の項目を見れば分かると思います。
という事で、時制は現在時制と過去時制の2つしかありません。
そして、現在時制は現在の事実を表し、
過去時制は過去の事実を表します。
つまり皆さんは、
現在の事実を述べたい場合に現在時制、
過去の事実を述べたい時に過去時制を
使って表現すれば良いという事になります。
現在形と現在進行形の違いは動きの捉え方。
では一旦過去時制を横においといて、現在時制で考えて見ます。
現在の事実の中でも異なる側面を作り出すこと、或いは表現することができます。
例えば、動きが一定だという事実もあれば、
動きが変化しているという事実もあるし、
もうその動きは終わっているという事実もあります。
また過去に行為が始まりまだその途中であるという事実もあります。
さらには、これから起こる、まだ叶っていない事実もあります。
これらは全て現在の事実です。
単に「動き」を別の側面から捕らえて表現しているだけです。
この側面の内、動きに変化なく一定であるという現在の事実を捉えたものが現在形です。
現在の動きが変化しているという事実を捉えたものが現在進行形です。
過去の出来事の結果が現在に影響しているという事実を捉えたものが現在完了形です。
過去に始まり未だ終わっていない動きの事実を捉えたものが現在完了進行形です。
未然の行為があるという現在の事実を捉えたものが未来形です。
すべての動詞は「現在と言う時間にある」、そういう制約を受けています。
これが現在時制です。
だから未来形と言うのは現在時制だし、
現在時制と言う時間的制約に於いて現在形と現在進行形、現在完了形、未来形に違いなんてありません。
あるのはその動きのどこを捕らえているかだけです。
それぞれ、「形」と言う用語で僕らは習いますが、
本来は以下のような意味があります。
現在形を単純現在simple presentと言います。
進行形を進行相progressive aspectと言います。
完了形を完了相perfect aspectと言います。
完了進行形を完了進行相past perfect progressive (aspect)と言います。
そして未来形を未来futureと言いますが、4つの相のそれぞれに未来表現があって、
それぞれ未来、未来進行、未来完了、未来完了進行と言います。
相とはaspectの文法和訳ですが、側面のこと、捉え方、角度、視点です。
つまり、進行相も完了相も同じ時制の異なる側面と言っているだけなのです。
そして単純現在や未来には「相」が付いていませんが、定常相(進行していない一定の状態)と未然相(まだ起きていない動き)として考えれば分かりやすいかなと思います。
現在時制には、大きく①現在の4つの視点、②未来表現、③依頼表現などがあります。
過去時制とは過去の事実を表す
現在時制が現在の事実を表すように、
過去時制は過去の事実を表します。
ですが、現在時制にある4つの視点を
過去にそのまま移動させたものではありません。
しかも表現できることが異なります。
過去時制と言うのは、何かとの距離を置く制限の為、
①今と距離を置いて過去の話をする
②心の距離を置いて丁寧な表現をする
③現実との距離を置いて仮の話をする
このような使い方が出来ます。
今回は①について4つの視点を解説します。
定常相の過去時制
過去のある時間のある動きを捉えたもの。
進行相の過去時制
過去の中断された動きを足らえたもの。
完了相の過去時制
過去の2つの出来事の前後関係を捉えたもの。
完了進行相の過去時制
過去のある期間で継続していた動きを捉えたもの。
では、現在時制と過去時制、それぞれの「相」で例文を出しましょうか(青文字をクリックすればそれぞれの解説を読めます)。
私は学生です。(am)
私は時々サッカーをします。(play)
なにか変な味がする。(taste)
水は0℃で凍る。(freezes)
3年前私は学生だった。(was)
車で学校へ行きサッカーをした。(played)
昨日食べたケーキは変な味がした。(tasted)
ペットボトルの水が凍った。(froze)
私は今サッカーをしている。(am playing)
今ケーキの味見をしている。(am tasting)
凍えそうだ。(am freezing)
私がサッカーをしていたら(was playing)彼女がグラウンドに来た(came)
私がケーキの味をしていたら(was tasting)に彼が家に来た(came)
発見当時、彼女は凍えていた。(was freezing)
2000年から大学生です。(have been+since)
今まで3回サッカーをしたことがある。(have played)
もう味見は終わっている。(have tased)
先週から水は凍っている。(has frozen)
1998年から2001年まで大学生だった。(had been)
3歳の時には(was)、サッカーの経験があった(had been)
彼が来た時(came)にはもう味見は済んでいた。(had tasted)
蛇口を回したら(turned)、水道の水が凍っていた。(had frozen)
もう3時間もサッカーをしているので疲れている。(have been playing)
ずっと勉強してきたので試験の準備はばっちりだ。(have been studying)
骨折する前に1時間ほどサッカーをしていた。(had been playing)
2時間勉強していて眠ってしまった。(had been studying)
ここに挙げたのはあくまでも基本的な意味の違いです。
細かい用法は詳しく別の記事にしますので
今はなんとなくでも全体の雰囲気が分かれば大丈夫です。
例文から感じて欲しいのは、動詞の性質によっては、作れなくなる相がある
という事です。
特に状態動詞は進行相では使えません。
また、現在の事実、過去の事実とは、話者にとっての事実です。
例えば、僕が「トムは猫好きだよTom likes cats.」と言って
本当はトムが猫嫌いであっても、僕がそう信じて発言している、
そういう意味で、現在時制は現在の事実を伝える文だと言っているのです。
まとめ
如何でしたか?
便宜上「動き」と呼んできましたが、この動きとは動詞を意味し、「静の動詞」「動の動詞」の両方をこの解説で定義していることに留意下さい。
では。まとめますね。
時制は現在時制と過去時制だけです。
これは僕の持論でも何でもなく、そのことについて言及する辞書もあります。
There are two tenses in English: past and present. The present tense is used to talk about the present and to talk about the future.
https://learnenglish.britishcouncil.org/grammar/english-grammar-reference/present-tense
英語には過去と現在と言う2つの時制がある。現在時制は現在と未来の話をする用法である。
There are technically only two grammatical tenses in English: the past and the present.
https://www.thefreedictionary.com/tense
厳密に言えば、英文法には過去と現在の2つの時制しかない。
実は文法家によって時制の捉え方が2つ~20近くまであります。
理由は、相(進行・完了)や態(受動・能動)も全て別の時制と考える先人がいるからです。
僕自身はお分かりのように2つしかないという立場をとっていますが、時制を2つと考えた方が文法的にスッキリすることが多いからです(これも追々分かります)。
現在と過去、それぞれの時間的制約の中で、僕たちは異なる視点で動きを捉えています。
その異なる視点を文法用語で「相」と呼びます。
その視線の先にある動きが、
それを見た時点で定常状態であれば単純な相
変化する動きであれば、進行相
完了した行為であれば、完了相
続いていれば、完了進行相
と言うように、動きには4つの視点があります。
そして未来表現と言うのは4つの相の中に含まれるのですが、willを使わずに未来表現は可能です。
また、willを使った未来時制と言うのは時制ではなく、むしろ助動詞の範疇になります。
これらの「相」をしっかりと理解できないとうまく説明が出来ないので
便宜上、現在形、進行形、過去形、完了形、未来形さらには未来時制などの用語が創造され流用され、一緒くたにされて放置されているだけなのです。
動詞の活用に未来形はありませんし、未来時制と言うのも存在しません。
時制とは、「主人公の動きがいつ起こったか」を言うものだからです。
未来形と言いつつwillの活用は現在形、つまり現在時制です。
「相」と言う概念を「時制」に当てはめると次のようになります。
定常現在、進行現在、完了現在、完了進行現在
定常過去、進行過去、完了過去、完了進行過去
時制と言うのは実にシンプルじゃないですか?
2つの時制と4つの相を先ずは覚えておいてください。
細かい解説は別の記事で解説しますのでお楽しみに!
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